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第八話「初めて触れられる夜」

مؤلف: ひなた翠
last update تاريخ النشر: 2026-01-20 21:35:04

 馬車が屋敷の前で止まり、レオニードは無言のまま降りた。僕の腕を掴み、引きずるように屋敷の中へと連れて行く。使用人たちが驚いた表情で見ているが、レオニードは気にも留めずに廊下を進んだ。

 僕たちの夫婦の寝室へと向かっていく。レオニードは扉を開けて、「入れ」と僕を中へと引き入れる。扉が閉まる音が響き、鍵がかけられた。

「そんなにしたいのか」

 低い声が響き、レオニードが僕に近づいてきた。鋭い眼光が僕を捉えている。

「答えろ」

 迫るような声に、僕は頷いた。

「したいです」

 レオニードは僕の腕を掴んでベッドへと投げ出された。柔らかいシーツに沈み込むと、レオニードが覆い被さってきて、重い身体が僕を圧迫した。

「っ……」

 唇が塞がれた。荒々しいキスだった。

 歯が唇に当たり、舌が口の中に侵入してくる。容赦なく口内を蹂躙され、息ができなくなった。必死にレオニードの肩を掴み、空気を求める。

 キスが離れると、レオニードは僕のシャツのボタンを乱暴に外していく。布が引き裂かれる音がして、胸が露わになる。冷たい空気が肌に触れ、鳥肌が立った。

 ズボンも脱がされ、下着まで引き下ろされる。全裸にされた
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    ◆出会い 父が死んだのは、俺が十歳の冬だった。家督を継ぐことになった俺は、早々に社交界デビューをした。 男爵家の当主として、国王陛下に拝謁し、他の貴族たちに挨拶をしていく。執事に連れられて王宮の大広間に入ると、きらびやかな衣装を纏った貴族たちが談笑していた。シャンデリアが輝き、優雅な音楽が流れている。場違いな感覚に襲われ、居心地の悪さを感じた。 父を知る貴族たちが、悔やみの言葉をかけてくれる。頭を下げ、感謝を述べる。同じやり取りを繰り返していくうちに、疲れが溜まっていった。 休憩しようと、広間の端へと移動する。窓の外を見つめていると、笑い声が聞こえてきた。顔を上げると、若い男性が二人、楽しそうに談笑していた。 一人は金髪の若い貴族で、派手な服装をしている。もう一人は――その姿を目にして、視線が釘付けになった。柔らかそうな栗色の髪に、琥珀色の瞳が優しく輝いている。華奢な体つきで、笑顔が美しかった。十五歳くらいだろうか。オメガらしい柔らかい雰囲気を纏っていて、金髪の男性に優しく微笑んでいた。 心臓が跳ねた。胸が熱くなり、息が苦しくなる。見惚れていると、栗色の髪の男性が笑った。金髪の男性が何か面白いことを言ったのだろう。屈託のない笑顔で、心から楽しそうに笑っている。美しかった。笑顔が、声が、仕草が、全てが美しくて目が離せない。「あれは誰だ」 思わず、隣にいた執事に尋ねていた。執事が俺の視線を追い、小さく答える。「リヒテンベルク侯爵家のご次男、エミール様です。お隣はヴァルトシュタイン伯爵家のご長男、ロデリック様。お二人は婚約されているとお聞きしております」 言葉に、胸が締め付けられた。あの美しい男性には、もう婚約者がいるのか。 俺はまだ十歳で、相手は十五歳。男爵家の当主と、侯爵家の次男。身分も違う、年齢も違う。手の届かない存在だ。 それでも、視線が離せなかった。エミールと呼ばれた男性が、またロデリックと笑い合っている。楽しそうで、幸せそうで、胸が痛たかった。 わずか十歳で俺は、初めて嫉妬という感情を知った。ロデリックが羨ましくて、妬ましくて、憎らしかった。◆結婚初夜 十七歳で出陣し、北方の反乱軍鎮圧で功を上げた。二十歳で帰還すると、エミールは三度目の離婚をしていた。男性のオメガは貰い手が少ない中で、噂と離婚回数で結婚先が決まらないと聞いた。

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  • 四度目の結婚 ~不完全なオメガと冷徹な夫の運命~   第二十一話「誘発剤」

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  • 四度目の結婚 ~不完全なオメガと冷徹な夫の運命~   第二十話「舞踏会への出席」

     国王主催の舞踏会の招待状が届いたとレオニードから、相談されたときは驚いた。『なぜ僕に相談を?』『夫婦だろ?』 不思議そうに答えるレオニードに、僕の胸はほっこりと温かくなった。 二人目を産んでまだ二ヶ月。体調はもうほぼ前の状態に戻っているが、昼夜関係ない育児に疲労しているのは、レオニードも知っている。 レオニードだけでも――それか他に連れがいれば……と言うと、エミールが同伴しないなら欠席するつもりだと言われてしまった。 二人目のルーカスは、夜泣きがひどく乳母だけでは泣き止まない。さらにはミルクの違いもわかるのか、僕の母乳じゃないと飲んでくれない。 医師から夜の営みの許可が出ても、ルーカスの性格上、そばを離れるわけにもいかず――ずっとレオニードに我慢を強いる結果になっている。 国王主催の舞踏会を育児で断るのも気が引けて、僕はレオニードに同伴すると答えた。 当日の夕方、侍女たちが部屋に入ってきて身支度を手伝ってくれた。深い青色の礼装を着て、髪を整えられる。鏡に映る自分の姿は、以前より痩せているように見えた。頬がこけて、目の下に薄い隈ができている。化粧で隠してもらったが、疲れは隠しきれなかった。 部屋を出ると、廊下でレオニードが待っていた。黒いスーツを着た姿は凛々しく、いつもより格好良く見える。僕を見つけると、近づいてきて顔を覗き込んだ。「体調は大丈夫か」 心配そうに尋ねられ、微笑んで答えた。「大丈夫です」「移動中、少し寝るといい」「ありがとうございます」 レオニードが僕の手を取り、腕に絡ませる。エスコートされながら、馬車へと向かった。     ◇◇◇  王宮は煌びやかに飾られていて、シャンデリアの光が眩しいほど輝いている。音楽が流れ、貴族たちが優雅に踊っていた。久しぶりの社交界に、緊張が走る。出産してから外出する機会がほとんどなく、こうして華やかな場所に来るのは何年ぶりだろうか。レオニードが僕の腰に手を回し、会場へと入っていく。 会場に入るなり、大勢の人間たちに話しかけられた。もともとレオニード自身、華やかな舞台に姿を現すような人ではないらしく、ここぞとばかりに繋がりを持ちたい貴族たちに話しかけられる。その度にレオニードは無表情で応対していたが、僕の腰を抱く手には力が込められていて、守られているような安心感があった。 しばらく

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