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妹の涙

Author: 影畑凛星
last update publish date: 2026-05-17 23:02:54

「……恵?」

 信じられなかった。

 ホテルの部屋の前に立っていたのは、間違いなく妹だった。

 白いワンピース。

 潤んだ瞳。

 いかにも“か弱い女”を演じる格好。

「お姉ちゃん……!」

 恵は佳苗の姿を見るなり、ほっとしたように駆け寄ってくる。

 だがその瞬間。

 雄吾が一歩前へ出た。

「止まれ」

 低い声。

 恵の足がぴたりと止まる。

 初めて見るタイプの男だったのだろう。

 恵の表情にわずかな警戒が浮かぶ。

「……あなたが榊原さん?」

 すぐに柔らかい笑顔へ切り替える。

「突然ごめんなさい。私、佳苗の妹なんです」

「知っている」

 雄吾は冷淡に返した。

 空気がぴりつく。

 それでも恵は笑顔を崩さない。

「お姉ちゃんが急に家を飛び出しちゃって、みんな心配してて……」

「みんな?」

 佳苗が思わず口を開く。

 恵がちらりとこちらを見る。

「悟さん、すごく落ち込んでるよ?」

 その名前を聞くだけで胸が冷える。

 前世では、その“心配”に何度も騙された。

「佳苗」

 雄吾が静かに声をかける。

「中へ入れ」

 佳苗は一瞬迷ったが、小さく頷いた。

 だが、恵が慌てたように声を上げる。

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  • 夫の子を産まされ、妹の身代わりとして死んだ私――今世では冷徹CEOに執着されています   監視されていた女

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