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譲れないもの

Author: 影畑凛星
last update Petsa ng paglalathala: 2026-06-21 19:22:51

 三浦が帰った後も、佳苗はしばらく書類を眺めていた。

 数字が並んでいる。

 預金。

 保険。

 共有財産。

 結婚した頃の自分なら、きっと興味も持たなかっただろう。

 悟が働いている。

 生活費は振り込まれている。

 それで十分だと思っていた。

 だが今は違う。

 そのお金がどうやって管理されていたのか。

 どれだけの時間をかけて家計を支えていたのか。

 少しだけ分かるようになっていた。

「難しい顔してるな」

 雄吾が向かいへ腰を下ろした。

 佳苗は苦笑する。

「難しいですから」

 そう言って書類を閉じた。

 頭の中が少し疲れている。

 仕事を覚えて。

 資格の勉強をして。

 離婚協議も進める。

 我ながら忙しい。

「先輩」

「何だ」

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