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第4話

ผู้เขียน: 桜池千春
日が暮れてから、私はようやく家に戻った。

荷物をまとめて、家を出る準備をするつもりだった。

けれど、玄関に入った途端、誰かに突き飛ばされ、床に転がってしまった。

父が私を指差し、怒鳴り声を上げる。

「妹をあんな目に遭わせて何とも思わないのか!お前のせいで、葵は今日、死にかけたんだぞ!」

顔を上げると、葵が洸の腕の中で泣いている。

洸はずっとその背中をさすりながら、優しい声で慰めている。

「葵のせいじゃない。もう自分を責めなくていい」

そこへ母が歩み寄り、憎々しげに私の頭を指先で小突いた。

「この恩知らず!葵はあんたに何でも譲ってきたじゃない。ただ代わりにテーブルラウンドをしただけなのに、どうしてそこまで追い詰めるの!

今すぐ謝りなさい!それからね、あんたの仕事、もう辞めさせておいたから」

母はバッグから退職届を取り出し、私の前に放った。

「ちょうど葵も仕事を探してるところなのよ。あんたが席を空ければ、葵がそこに入れる。これまでの埋め合わせだと思いなさい。

それに洸も同じ会社なんだから、葵の面倒を見てくれるしね」

私は言葉を失った。

退職の手続きには本人の署名が必要なはずだ。

突き飛ばされたときの痛みも忘れ、震える声で問い詰める。

「いつ、私の署名を手に入れたの?」

洸が顔を上げ、私を見て静かに答える。

その声はあまりにも穏やかで、まるでどうでもいいことを話しているようだ。

「前に婚前契約書を書いてもらっただろ。その中に、退職届も一緒に挟んでおいたんだ」

全身が凍りつき、血の気が一気に引いていく。

結婚前に自分の財産まで私に渡して、私を安心させようとしてくれた人が、裏では葵のレールを敷くため、私のキャリアまで潰していた。

「……私を騙してたの?」

「どうせ茜は俺と結婚するし、仕事がなくても、俺が養ってやれる」

洸が近づき、私の手を握ろうとしたが、私は身を引いてそれを避けた。

「葵と仕事を取り合う必要なんてないだろ。あいつは卒業したばかりで、仕事を探すのも大変なんだから」

乾いた笑みを浮かべる。けれど、涙が溢れそうになる。

「私がこの3年間どれだけ死に物狂いでやってきたか知ってるじゃない!

一番下から始めて、毎日遅くまで働いて、やっと今のポジションまで這い上がったのよ!

それなのに……私が積み重ねてきたものを、あんたたちはこんなに簡単に奪うんだね」

母は私を指差し、正論を振りかざすように言い放つ。

「お姉ちゃんなんだから、妹の面倒を見るのは当たり前じゃない!

悲劇のヒロインでも気取るつもり?」

「今まで私がどれだけ葵に譲ってきたと思ってるの!どうして仕事まで奪うのよ!」

抑えてきた感情が一気にあふれ出し、とうとう声を荒げてしまった。

葵が泣きながら母の手を取る。

「もういいよ、お母さん。お姉ちゃんがそんなに嫌なら、私また別の仕事を探すから……私のせいで、みんなが喧嘩するのは嫌……」

そう言って、再び洸の胸に顔を埋め、肩を震わせる。

それを見た父は、私の腕を掴み、無理やり床から引き起こそうとする。

クローゼットの鍵を壊したときにできたかさぶたが、再び裂ける。

血が止めどなく流れ落ち、目を覆いたくなるような有様だ。

「葵はお前の妹だぞ!どうしてそこまで冷たくできるんだ!

この恩知らずが!今すぐこの家から出て行け。お前なんか、もう娘じゃない!」

痛みに耐えながら、壁に手をついて立ち上がる。

「言われなくてもそのつもりよ。どうせここに私の居場所なんてないから。

この家で暮らしていても、私、ずっと一人ぼっちだ」

それだけ言い残し、自分の部屋へ向かった。必要なものだけをスーツケースに詰めていく。

リビングを通り抜けようとしたとき、洸が立ち上がった。

「茜!」

「行かせなさい!」

追いかけようとした洸を、母が引き留める。

「行くあてなんてあるわけないんだから!

どうせ3日もすれば、泣きながら戻ってくるに決まってるわ」

私は何も言い返さなかった。

スーツケースを引きながら、そのまま玄関を出た。

タクシーに乗り込むと、運転手が行き先を尋ねてきた。

ルームミラー越しに、見慣れたマンションを最後に一瞥し、静かに告げる。

「空港までお願いします」

この家に私の居場所がないのなら、もうここに留まる理由もない。

まったく新しい場所で、自分の人生を切り開いていく。

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