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第 176 話

last update publish date: 2026-09-17 09:46:16
冬服。

膝掛け。

包帯布。

毛布。

寄付金。

輸送費。

調整費。

数字の上では、すべて綺麗に整っていた。

でも、南施療院の病室には届かなかった。

「セム殿」

クラリスは、声を低くした。

「あなたが管理していた帳簿では、寄付金が物資に変わり、物資が輸送費に変わり、輸送費が調整費に変わっています」

「帳簿とは、そういうものです。金の流れを整理するために」

「違います」

クラリスははっきり言った。

「あなたの帳簿では、善意が途中で薄くなっています」

セムが初めて顔を上げた。

「……詩のような言い方ですね」

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    手には、やはり札があった。 クラリスは覗き込む。 そこには、こう書かれていた。 条件を出せました クラリスは思わず笑った。 「採点されているみたいね」 「満点ではございませんが、かなり良いです」 「満点ではないの?」 「即答しなかった点は満点です。ですが、会議中に三度ほど自分で補足資料を配ろうとなさいました」 「見ていたのね」 「当然でございます」 レオンハルトが横から言った。 「私から見ても、かなり良かった」 「殿下まで」 「一人で背負わなかった」 その言葉に、クラリスは少しだけ目を伏せた。 一人で背負わなかった。

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    国王が尋ねた。 「人員は?」 「初期配置として、記録官一名、補佐二名。繁忙期には臨時補助を追加します」 「財源は」 そこで会議室の空気が少しだけ硬くなった。 制度は美しい。 だが、人を置くには金が要る。 バルツァーが突きつけた問いは、ここにもある。 誰を削るのか。 クラリスは、用意していた資料を出した。 「本件で取引停止となる不正関与商会への支払い保留分、ならびに追回収予定金の一部を初年度費用に充てます。ただし、恒久財源としては、王宮慈善予算の中に“確認費”を明記することを提案します」 「確認費」 国王が繰り返す。 「はい。これ

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