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第二章:幸せの対価

Author: Kaya
last update Last Updated: 2025-10-22 19:02:00
このところ幸せな気がして、すっかり油断していた。

エルミニオから殺される運命を変えることができたと、安心しきっていた。

「ルイスが倒れた……!?」

また一緒に禁書庫に行こうと約束した前日、ルイスはマルツィオに任された外交で、使節団を迎えていた。

彼は順調に仕事をこなしたのだが、さきほど自身の執務室に戻るなり急に倒れてしまったというのだ。

血相を変えてマルコが私を呼びにきた時、急いでルイスの元へ駆けつけた。

「ルイス……!」

ベッドに横たわるルイスの顔は青く、酷くうなされていた。

私が来たことも分からないくらい。

部屋にはアメリアもいて、今にも泣き出しそうな瞳をして私を見つめていた。

そっと近づくと、ルイスの右手の刻印が淡く光っていた。

ただし、いつもとは違い、暗く薄暗い色をしていた。

「ルイス、しっかりして!」

「ロジータ様。今のルイス様は、会話すらできないようです。」

アメリアが二、三度首を横に振った。

荒々しいルイスの息遣いが部屋中に響き渡る。

苦しむ彼の姿にぐっと胸が痛む。

ベッドに近づき、私は彼の右手をぎゅっと握った。

「マルコ、念のため国王陛下をここへ呼んで。

それと、できれば治癒力を持った神官も呼んでほしいと伝えて。」

「…分かりました、ロジータ様!」

断定はできないけれど、たぶんこれは禁忌の治癒力によるものだわ。

マルツィオの忠告が本当になってしまったのね。

『治癒力』の使いすぎーーー

やはり、リスクが本人に直に現れるということは間違いなかった。

それなのにルイスは昨夜も私の傷を……

「ごめんね、ルイス。

私がもっと強く止めていれば……!」

彼の手を強く握りしめる。

これは原作にはなかった展開だ。

明らかに、ルイスが私を助けたせいで起きたこと。

私がロジータ・スカルラッティとして死ななかったから起きていることなのだ。

治癒力を使うと淡く光っていた彼の刻印が、燻った色になっているのも気になる。

これも治癒力が関係しているのかしら?

その時、私の心臓にズキっと痛みが走った。

こんな時に、自分の傷なんて気にしている場合ではないわ。

「ロジータ様!?」

「私は大丈夫よ、アメリア。

それより、ルイスが心配だわ。」

また禁書庫に行って詳しく調べるつもりだったのに、何も分からないうちにこうなってしまうなんて!

あれ
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