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第10話

Author: 星乃 ゆえ
その時、言弥は母の真理子とともに検査室の前でさやかを待っていた。

だが、頭の奥で美和の表情が何度も繰り返し浮かび上がっていた。

美和が最後に言っていた言葉は──もはや自分の言い訳など聞く気はないという宣告だったのだろうか。

「いや、そんなはずない……」

言弥は首をかしげ、苦笑いしながらその考えを打ち消し、自分の思い違いに過ぎないと言い聞かせた。

なぜなら、美和がこの関係をどれほど大切にしているか、誰よりも知っていたからだ。

スマホに新着メッセージの通知が鳴り響いた瞬間、言弥は現実に引き戻された。

美和からのメッセージだと知ると、思わず口元に笑みが浮かぶ。

「やっぱり、美和が俺を捨てるわけがない」

そう思いながら開いた画面の冒頭にあった「離婚」という文字に、目が釘付けになった。

その瞬間、笑みは音もなく消え、瞳に信じられない色が宿る。

──離婚?

美和が、自分との離婚を望むだと?

その事実が脳裏を打った瞬間、胸の奥を握りつぶされるような痛みが走った。

震える指先で、美和から送られてきた複数の動画を再生していく。

しかし、映像を目にするほどに顔色は青ざめ、握りしめた手は恐怖と動揺で震えが止まらなかった。

言弥は予想もしていなかった。

さやかが、自分の知らないところでこれほど多くの細工を仕掛けていたとは。

完璧だと思っていた自分の嘘が、すでに美和に晒されていたと知った時、心は鉛のように重く沈んでいった。

その時、検査室のドアが開き、さやかが出てきた。

彼女は言弥の異変にすぐ気づき、そっと袖をつまんで顔を覗き込む。

「社長、どうかされましたか?」

その声でようやく現実に引き戻された言弥は、真っ赤に充血した目でさやかを見据えると、無言のまま彼女の首元を掴んだ。

「誰の許可を得て、美和の前で威張っている?警告したはずだ。余計な望みは持つなと」

苦しそうに肩を震わせながらも、さやかは決して認めようとせず、涙声で訴えた。

「ご、誤解です……私は、何もやってません……」

横でスマホをいじっていた真理子が、その光景に慌てて声を上げた。

「言弥!何をしているの!?中村さんはあなたの子を身ごもっているのよ!早く手を離しなさい!」

しかし、言弥は頑なに手を離さず、母を睨みつけながら低い声を吐き出した。

「母さん……本当のことを教えてくれ。父さんは、本当に病気なのか?」

真理子の顔に緊張が走り、視線をさやかへと向ける。しばし黙り込んだ末に、口ごもりながら返事をした。

「あなたも……あの診断書を見たでしょう?私が嘘をつくわけないじゃない……」

「まだ、俺を騙す気か……?」

失望と怒りがせめぎ合い、言弥はついに声を荒げた。

「この期に及んでも誤魔化すのか?!美和が離婚を切り出したんだぞ!これで満足か!」

その言葉に、さやかの瞳に一瞬だけ、野心の光が宿った。

真理子は一瞬固まったが、口元を歪めながら吐き捨てた。

「もうこんなことになっちゃったんだし、子どもの世話だって別に彼女がするわけじゃないんだから。少しは年寄りの立場も考えてくれてもいいのに、本当わがままなんだから。

離婚したいなら勝手にすればいいのよ。五年も結婚して子どもができなかった女なんて、用済みでしょ。さやかさんは一度で授かったじゃない。だからやっぱり、人によるのよ」

言弥の瞳孔がわずかに震え、何かに気づいたように力なくさやかから手を離した。

放心したまま、掠れた声で叫ぶ。

「違う……違う!俺は絶対に美和と離婚しない!お前らの思い通りにはさせない!」

言い捨てると同時に、その場を振り切るように走り去った。

他人は知らなくても、言弥自身はよく知っている。

子どもができないのは、自分の体の問題だということを。

彼に気遣って、美和はこの数年もの間、すべてを背負い込んでいた。

両親の非難に耐え、言弥を信じ続けてくれた。

──なら、なぜさやかは簡単に子どもを授かれたのか。

初めてその疑念が、言弥の胸を突き刺した。

だが今は深く考える余裕もなく、ただ急いで帰宅し、美和に説明したい一心だった。
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