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29.昇格の代償と、再びの戸惑い

last update 최신 업데이트: 2025-10-30 18:02:00

「松田颯殿、試験に合格したためマネジメント職の昇格をここに証明する」

一年半後、俺は無事に昇格試験に合格をした。この試験は難易度が高く一発合格は稀らしい。これで璃子の婚約者としてだけでなく、実力も伴っていることを社内に示すことが出来て、ようやく一安心していた。

「松田君、よく頑張ったね。璃子が見定めた人物だけのことはある。」

社長室に呼ばれて部屋に行くと、社長は俺の合格証書を満足そうに眺めている。俺を褒めているのか璃子の先見の明を褒めているのか分からない言葉を俺にかけてきたので、俺は苦笑をして聞き流した。

「試験にも合格したことだし、これで璃子との結婚の話も進められるな。顔合わせや挨拶もしなくてはな。ご両親に、来月以降の予定を聞いてみてくれ」

「はい……」

試験勉強を頑張ったのは、璃子との結婚を認めてもらうためではなく、自分自身を認めてもらうためだった。合格の副賞として付いてきた結婚の話が、俺の胸に重くのしかかっている。

「どうした、何か浮かない顔をしているな」

社長に直接聞くべきか迷ったが、璃子の親族は社長以外、俺は知らない。璃子と社長、そして璃子の母親の間で認識のズレがないか事前に確認しておきたかった。

「あの……璃子の親は、

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