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第105話

作者: 森の小鹿
店主はウサギ好きの男性で、奈緒とも馬が合うらしい。店裏の小さな竹林で、たくさんのウサギを飼育していた。

奈緒は丸い目と可愛らしいウサギのように少し覗く前歯をしていて、普段はおっとりしているのに、怒るとすぐムキになって、噛みつくことさえある……だから小さい頃、兄には「うさちゃん」なんて呼ばれていた。

後に、『ズートピア』が世界中で公開された。彼女は主人公のウサギ警官ジュディが大好きだった。それから、ウサギへの愛は、もう止まらなくなった。

充が個室のドアを開けて入ると、奈緒は頬杖をつきながら、ガラス越しに竹林を元気に走り回るウサギたちをぼんやりと眺めていた。

帽子が顔を隠していて、表情は見えない。でも、後ろ姿からにじむ雰囲気は、とても頼りなくて、壊れそうだった。

昔の奈緒は、もっと瑞々しく、素直で眩しいほどだったというのに。

充は、結婚してからの5年間、ずっと彼女を大事にしてきたつもりだった。彼女がのびのびと自分らしくいられるようにしてきたのだ。

どんなに好きなことでも否定せず、こっちは長い髪が好きだったけれど、奈緒の短い髪もあえて黙って受け入れ、文句の一つも言わなかったのだ
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