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第4話

Auteur: 清水澪
一週間はあっという間に過ぎた。明を家に迎えるためのパーティーは盛大に行われて、知り合いはほとんど顔を揃えている。

深也は私の手を強く握りながら、声を潜めて警告する。「この数日で気持ちの整理はついただろう。余計な真似はするなよ」

私は何も言わず、彼のほうも見なかった。

5歳の子どもが近づいてきて、私の手を引いた。皆の前で「お母さん」と呼んだ瞬間、私はようやく口を開く。

「私は君のお母さんじゃないし、息子として認めるつもりもない」

私の一言で、会場が一瞬でざわついた。みんな顔を見合わせて、何か察したような目になる。深也を見る彼らの視線には、明らかな嘲りが混じっている。

メンツを潰された深也は、屈辱と怒りで顔を引きつらせて、私の手首を締め上げた。

「どういうつもりだ?

今日明を認めないなら、今すぐ病院へ行け!」

彼の態度は断固としていた。父親として、こんな言葉を口にできるなんて思いもしなかった。

私がこの子を授かるまでどれだけ大変だったか、知っているのに。苦い薬を何種類も飲んで、流産を止めるための注射も何度か打った。

それなのに今、隠し子のために、私との子はもういらないと言い捨てるのだ。

「他人の息子を育てる気はないわ」

少し離れたところにいる琴音は、かわいそうな被害者面をしている。

ちょうどその時、静まり返ったホールのスクリーンが突然明るくなる。大きな画面に、深也と琴音のベッドでの写真が次々と映し出された。撮られたのは5年前だ。

会場は再びざわついた。深也もその場に立ち尽くして、呆然とスクリーンを見上げている。琴音は真っ赤な顔をして、私を指さす。

「神崎さん!私に不満があるのは分かるけど、どうしてこんなことするんですか!

確かに5年前は私が悪かったんです。深也さんが酔って、私をあなたと勘違いしてしまったんです。

でも、今は関係ないでしょ?いくら気に入らないからって、明が深也さんの実の息子であることは否定できないでしょ!」

琴音の言葉で、その場にいる全員がすべてを察した。

「なんだ、愛人の子だったのか。どうりでなんか妙だと思った。

いい見せ物を見せてもらったな」

くすくすと笑う声が漏れ聞こえてくる。深也は慌てて画面を消すよう指示を出した。そして、私の頬を思いきり叩いた。

口の中に血の味が広がって、意識も遠のく。顔を上げると、深也の憎悪に満ちた目とぶつかった。彼は怒りで胸を激しく上下させながら、部下に私を病院へ連れて行くよう命じる。

必死に抵抗したが、屈強な男たちの力には敵わず、無理やり引きずられていく。お腹に激痛が走って、下半身から生暖かい血が流れ出るのを感じた。

病院に運び込まれた時、医者は咄嗟に切迫早産の処置をしようとする。しかし、深也が突然口を挟む。

「中絶だ。その子はもういらない」

頭が真っ白になる。「写真を流したのは私じゃない!」

深也は冷たく口角を歪める。

「どっちでもいい。お前に思い知らせてやりたいだけだ。二度と琴音と明をいじめようと思わないようにな」

お腹の子のことを思い、私は泣きながらすがりつく。

「私が悪かったわ。あんなことするべきじゃなかった。でもこの子に罪はないでしょ。

深也の子なのよ。お願いだから、やめて」

いくら泣き叫んでも無駄だった。深也は私を無理やり手術室へ連れて行かせて、切迫早産の私に適切な処置を受けさせなかった。取り出された子はすでに息絶えていた。

女の子だった。まだこの世界を見ることもなく、目を閉じたまま。冷たい手術台に横たわって、私は顔を覆って泣き笑いする。

離婚届を病院のベンチに放り捨てる。

死産したばかりの体を引きずりながら、死んだ娘を胸に抱いて、ここから離れていった。

5年前、深也を許したせいで私は地獄に落ちた。もう二度と、同じ過ちを繰り返すことはない。
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