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67.大切な人。side悠里

last update Last Updated: 2026-02-17 11:55:54

side悠里

「悠里!」

柚子と別れた後、選手控え室に戻ると、その場にいた部員たちが一斉に俺に詰め寄ってきた。

「何でここに鉄子がいたんだ!?」

まずは大きな声で問い詰めてきたのは、隆太だ。

隆太の顔色はあまりにも悪く、とてもじゃないが、柚子を歓迎しているようには見えなかった。

「偵察か?やっぱり、部費関係の偵察なのか?」

それから続くように、他の部員もあまりよくない顔色でこちらに視線を向ける。

「悠里、鉄子はバスケ部について何か言ってたか?」

さらに先輩までも、顔面蒼白で汗を流していた。

先ほどのアップで流したものではなく、確実に〝柚子〟

という存在に流れた冷や汗だろう。

緊張と恐怖で右往左往する部員たちに、俺は困ったように笑った。

「落ち着いて、みんな。柚子は普通に応援に来ただけだから」

俺の言葉に一瞬、控え室が静まり返る。

だが、それはほんの一瞬で、すぐに先ほどの賑やかさを取り戻した。

「な、何だぁ、そうかぁ」

「よ、よかった。ほんとーに。よかった」

隆太や先輩、みんなが安堵の息を漏らし、笑顔になる。

その中で陽平はこちらに近づき、からかうように口角を上げた。

「アツアツじゃん
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  • 推しに告白(嘘)されまして。   72.光の海で溺れた。

    すっかり日も暮れ、沢村一家とのクリスマス会はお開きとなった。暗くなり始めた空には、ポツポツと輝く星が見え出している。もうすぐ夜だ。名残惜しくも悠里くんの家から帰ることになった私は、寒空の下、悠里くんと共に並んで駅まで向かっていた。私の横を歩いてくれている悠里くんを、チラリと盗み見る。吐く息は白く、鼻先が少し赤い。寒そうな悠里くんに私は申し訳なさと、それから嬉しさでいっぱいになった。推しをこんな寒い中、歩かせたくない。今すぐにでも暖かい場所に戻ってほしい。けれど、まだ一緒に居られることが嬉しい。幸せな気持ちを噛み締めながらも、肩にかけてあるトートバッグの紐をぎゅう、と握る。この中には悠里くんへのクリスマスプレゼントがある。別れ際に絶対に渡さなければ。「…ねぇ、柚子。ちょっと寄り道してもいい?」突然、伺うように悠里くんに瞳を覗かれて、一瞬、その尊さに息を呑む。何をさせても絵になる罪な男。それが私の推しである。「う、うん。もちろん」この胸の高鳴りを悠里くんには絶対に悟られまいと、私はいつも通りの平静を保って、笑顔で頷いた。*****悠里くんに連れられてやってきたのは、駅からほんの少し離れた、とある広場だった。ビル群の中にあるその開けた場所には、普段は住民たちの憩いの場として自然が広がり、ベンチや子どもたちが遊ぶ広いスペースがある。だが、今日はそこが少しだけ違った。生い茂る木々には、暖色のイルミネーションが施されており、その他にも様々なクリスマスに関するオブジェが並べられている。もちろんそのオブジェたちも木々のイルミネーションのように暖色の光を放っていた。もうクリスマスは終わってしまったが、ここはまだクリスマスのままだった。「…うわぁ」広がる光の海に、思わず感嘆の声を漏らす。するとそんな私を見て、悠里くんは柔らかく笑った。「ここ綺麗でしょ?柚子と一緒に来たかったんだ」私をじっと見つめて離さないその瞳には、どこか甘い熱がある気がして、心臓がゆっくりと加速し始める。すごくすごく反則な視線だ。心臓に高負荷がかかってしまう。このままではムキムキな心臓になってしまう。イルミネーションよりも眩しい推しに、つい瞳を細めていると、悠里くんはダウンのポケットから何か小さな箱を取り出した。「これ、クリスマスプレゼント」悠里くん

  • 推しに告白(嘘)されまして。   71.好きなところ。

    それから私たち4人でのクリスマスパーティーは始まった。リビングの大きなテーブルには、悠里くんと私が作った料理が並べられており、それをみんなで食べながら、話に花を咲かす。時間を忘れて楽しいひと時を過ごしていると、机を挟んで向こう側に座る里緒ちゃんが、ふと、明るい顔で口を開いた。「ねぇ、柚子ちゃん。柚子ちゃんはお兄ちゃんのどんなところが好き?」「え?」里緒ちゃんの可愛らしい質問に私は目を丸くする。「んー。いっぱいあるなぁ…」そして箸を置き、視線を左上へと向けた。正直、好きなところをあげるとなると、一日中でもあげ続けられる。しかし、それは流石によくないだろう。重要な部分だけでも伝えなければ。そう思い、じっくり思案していると、隣にいた悠里くんは「無理に答えなくてもいいよ」と、気遣うようにこちらを見てきた。里緒ちゃんの隣にいる里奈さんは「いい質問だねぇ」と楽しそうだ。全員の視線を浴びながら、私はゆっくりと話始めた。「えっと…、まずは誰にでも優しいところが好きで、周りをよく見てて、気配りができるところも好き。あとはバスケをしているところもかっこいいし、笑顔も眩しいし、たまに見せてくれる男の子っぽいところも好きだし、見た目も非の打ち所がなくて…」「ま、待って!もういい!もういいから!」まだ重要な部分を全て伝えきれていないのだが、真っ赤な顔の悠里くんからストップが入り、もう喋れなくなる。強制終了だ。まだまだ言い足りず不満げに悠里くんを見ると、悠里くんは恥ずかしそうに、フイっと、私から視線を逸らした。…か、可愛い。耳まで真っ赤だ。ついつい可愛らしい悠里くんに頬が緩む。すると、今度は里奈さんが怪しく笑った。「柚子ちゃんだけ悠里の好きなところを言うのはフェアじゃないよね?悠里も言おうか」ふふふ、と笑う里奈さんに、少しだけ悠里くんが嫌そうな顔をする。だが、すぐに「…わかった」と小さく頷いた。おおおおおおお、推しが!?私の好きなところを言ってくれるぅ!!!!????今まさに大決定されたとんでもないことに嬉しさのあまり、叫び出したくなる。もちろん、表向きはあくまで冷静に、にこやかにしているが、内なるリトル柚子は喜びで大はしゃぎだ。今から悠里くんが言ってくれる私の好きなところを、一言一句聞き逃してはいけない。今日からそこが私のウィークポ

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