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第497話

作者: 清水雪代
「そんなの簡単よ。私は彼が望む『理想の女』を演じただけ。以前、あなたに頼んで谷口智美って女に近づいて、彼女の芸術センターでバイトとして潜り込ませたじゃない?

あの時盗撮した動画と写真、すごく役に立ったわ。その立ち振る舞いを完コピしただけで、彼はイチコロだったわよ」

菜々子は呆れ半分、感心半分で尋ねた。「でもお姉ちゃん、一生演技し続けるわけにはいかないでしょ。自分を偽り続けるなんて、疲れない?」

「お金が稼げるのに、疲れなんて何もないのよ。あんたみたいに貧乏な男と結婚して、将来スーパーの特売チラシと睨めっこする人生の方がよっぽど疲れるわ。それが『自分らしく生きる』代償なら、私はごめんね」

菜々子は姉の拝金主義には賛同できなかったが、姉の徹底した「演技術」には、戦慄すら覚えた。

小さい頃から、姉が手玉に取った男は数知れない。

彼女は同性から最も嫌われる「ぶりっ子」の天才だ。

常にターゲットの男性が好むタイプを完璧に演じきり、骨抜きにし、骨の髄までしゃぶり尽くせば、躊躇なく乗り換える。

菜々子もそんな姉に反発していたが、この数年の豊かな生活はすべて姉の稼ぎによるものだと認めざ
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