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第576話

Author: 雲間探
電話を切ると、優里は淳一と軽く挨拶を交わして、車に乗って去っていった。

その日の午後、大森家と遠山家の人々は興奮と喜びに包まれている。

実は、優里もそうだ。

顔は冷静に見えたとしても。

午後5時過ぎ、優里のスマホが鳴ると、一瞬にして周りの視線が彼女に集まる。

メッセージを読み終えた優里に、結菜が慌てて尋ねた。「姉さん、智昭義兄さんが迎えに来たの?」

「ううん」優里は答えた。「ただ、迎えが必要かどうかを聞いただけ」

「そうなの……」

智昭が自ら迎えに来なかったにも関わらず、優里本人も、大森家や遠山家の誰も気にしていないようだ。

やはり、サプライズはさりげない日常でこそ一番心に残るもの。

優里は返信し、6時過ぎに、大森家と遠山家の人々に見送られながら会社を後にし、智昭が予約したレストランへ向かう。

到着すると、個室に入る前に、茜が楽しそうに廊下を行き来しているのが見える。明らかに優里を待っている。

優里の姿を見つけると、茜は駆け寄ってきた。「優里おばさん!」

優里は微笑んで彼女を抱きしめる。「ゆっくりでいいのよ」

茜は頷きながら、手に持ったプレゼントボックスを差し出した。「お誕生日おめでとう!」

優里はプレゼントを受け取って言った。「ありがとう、茜ちゃん」

茜一人でいるのを心配したのか、ふと見上げると、智昭も個室から出てきて、優里を見つけると「来たか」と声をかけた。

「うん」智昭が準備した誕生日サプライズを思い出すと、優里の胸には緊張が込み上げてくる。

その時、清司も個室から出てきた。「来たか?早く個室に入ろう」

優里が茜の手を引いて個室に入ると、意外にも辰也の姿があった。

昨日、清司がグループチャットで今夜誕生日会をすると伝えてきた時、辰也は祝福の言葉こそくれたが、何か理由をつけて来ないだろうと、優里は思っていた。

まさか——

しかし、今日智昭が彼女にプロポーズすることは、これまでとは違う。智昭の親友の一人として、たとえ辰也は今玲奈に好意を抱いて、優里と距離を置くべきだとわかっていても、今日は確かに出席し、智昭の幸せな瞬間を証言する必要がある。

辰也が席に座って、こちらを見ているのを見て、彼女は淡々と頷く。

清司は彼女と辰也の間にある隔たりや距離に全く気づかず、彼女が入ってくると、すぐに自分のプレゼントを渡した。「俺のさ
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Comments (92)
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土御門ユリア
陽子様 現実を見ると玲奈との差がありすぎて耐えられないのでしょう♫ でも…読み返すと愛されてるの!と思わせる事沢山されてるのよね そう考えるとクズ昭は二人の女の心を弄ぶ最強クズ野郎だと腹が立ちます
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土御門ユリア
nocccoo様 すでに壊れてきてる感はありますよねぇ これから完膚なきまでに崩壊していくだろう ふふふw
goodnovel comment avatar
n
茜がおなかにいるのに祖父母に押し切られないと結婚する気なかった男相手に、そりゃ玲奈も弱気になったよねと思います。 怒らせたかったにしても酷すぎるし、離婚成立はマストです! 玲奈が茜に関わらないのは離婚を言い出した智昭に怒ってるからだと誤解してた節がありますね。 藤田おばあさんの入院で、智昭から離婚延期を言い出したあと、茜が自分から言い出した約束の木曜になっても連絡してこず、土曜夜に劇場で翔太といる時に智昭から月曜は離婚手続きだからとチャットが入り、日曜に茜がきたエピソード。 離婚延期したから、茜が約束破ったら玲奈から連絡来るだろう(無視する理由がない)と思ってたんだろうなと思いました。
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