LOGIN「愛人だなんて……恋人が欲しいの」
わたくしは恥ずかしげに微笑んで見せた。 「公爵様がお許しになるかしら。ジェラルド様も……」 マルガレータの指摘はもっともだった。 お父様は今、集まった皇帝派の貴族たちと密談中のはずだ。もう少し経てば、会場に現れない皇太子を皇宮まで迎えに行く。お父様は、わたくしが『皇太子の婚約者に内定している』と、印象づけたいのだ。 心配せずとも、皇室は公爵家の支援なしに品位を維持できないほどになっている。わたくしと皇太子を結婚させるより、威厳を保つすべがないのだ。 わたくしは、この二度目の人生で皇太子の婚約者にはなりたくない。 塔で最後に会った日に、男が残した言葉の意味が今ならわかる。 男は、自分が皇帝を倒せなかった場合に、私が過去に戻ると知っていたのだ。そう、準備していたのだろう。 わたくしは今までのように『皇太子妃にふさわしい令嬢』でいてはいけない。 「せっかく成人したのだから、自由に楽しみたいわ」 「あなたの気持ちはわかるけれど……」 マルガレータが心配してくれている。彼女のわたくしに対する友情は本物だと、わたくしは知っている。 塔にいた頃、アンからマルガレータの末路を聞かされた。わたくしの潔白を証明しようと動き、反感を抱いた民衆によって殺されてしまった。マルガレータを殺したのは、本当に民衆だったのか、ずっと疑問に感じていた。 わたくしには何もかもが、マクシミリアンの仕業に思える。 与えられた二度目の人生で、再び皇后となり、未来を変えていく選択肢がないわけではない。注意深く過ごせば、きっと陰謀を阻止できる。そうだとしても、わたくしは、たとえ男から「誰の皇后にもならないでほしい」と言われていなくとも、マクシミリアンの妻には、もう二度となりたくなかった。 塔へ来ていた男がすぐにみつかればそれが一番良い。間違いないと確信が持てる相手が現れてくれれば、迷わず、手を伸ばす。 男は、わたくしのアカデミー時代のことも詳しかった。きっと、今このとき、わたくしのことを憎からず思ってくれているはずだ。 侍従が報告をしに来た。 「条件に合う男性が集まりました」 「何名かしら?」 「四名です」 マクシミリアンが来るまでの時間で、ダンスを踊ってみるのにちょうど良い人数だ。 「わたくしがそちらへ行きますわ。お待ちいただくよう伝えておいて」 侍従は一礼して戻っていった。 「今から、恋人候補の方たちとお会いするから、マルガレータも同席してね」 「わかったわ。変な噂のある人は教えてあげる」 わたくしはマクシミリアンの妃になるために生きてきたせいで世間に疎い。マルガレータは、いろいろな情報を持っているので、きっと、塔に来ていた男を探すのにも頼りにできる。 「では、どのような方がいるか、見に行きましょうか」 マルガレータと二人、男たちの待つ場所へ向かう。招待客たちが、わたくしの意図を探ろうと視線を向けてくる。仲の良い者同士、なにかを囁き合っている。 『皇太子妃候補の公爵令嬢が、男漁りをはじめた』と噂を流してもらえれば、わたくしの思惑は成功したと言える。 ツェーザルにどう思われるかが少し気がかりだ。わたくしは自分でも不思議だった。ツェーザルは塔に来ていた男とは、体格が違い過ぎる。戦争の英雄となった後のツェーザルは背が高かった気もするが、近くで会ったわけではないので実際はどのくらいかわからない。 ツェーザルのくれた何気ない気づかいが、塔に来ていた男を思い出させる。マクシミリアンは何度生まれ変わろうとできない気づかいだ。 ツェーザルを、『男』だと確信できたら、その時には今日のことを詳しく説明すればいい。今は、マクシミリアンの婚約者に選ばれないよう、わたくしのこれまでの印象を変えるのが最優先だ。 わたくしが指定したのだから当然だったが、四人は背が高かった。一人、明らかに塔の男よりももっと背の高い青年がいた。早速、一人除外となったが、『差しあげたいものがある』と言って集めた手前、追い返すわけにもいかない。 わたくしが用意したものには、大した価値がない。ただ、塔に来ていた男なら、喜んでくれると思えた。 「お楽しみの最中にわざわざお集まりいただき感謝いたしますわ」 男たちは口々に、わたくしの側にこうして立っている喜びを伝えてきた。わたくしは微笑みを浮かべながら、ひとりひとりを観察していく。 服の色味と、ブローチが合っていない男がいた。他の誰かから借りたのか、あるいは奪ったのかどちらかだろう。 残る二人は、素朴な顔をした真面目そうな青年だ。塔に来ていた男が顔を隠していたのは、容姿に自信がなかったからかもしれない。わたくしは、男の『優しさ』を愛したのだ。ツェーザルのように美しくある必要はない。 「あなた方には、わたくしと踊る栄誉を差しあげます。ダンスに自信がおありなのでしょうから、楽しませていただけると信じていますわ」 わたくしはわざと傲慢な態度をとった。わたくしを慕ってくれている『男』からは、幻滅されるかもしれない。それでも、世間にわたくしの悪評を広めるためには、やむを得ない。 目の前の男たちは、忠犬のごとき喜びようだった。 「まずはあなたから」 わたくしは、可能性の残る者のうち、より、服装にセンスを感じられた方を選び声をかけた。 「お名前をお伺いしてもよろしいかしら?」 「パウル・シャローと申します」 低く響く良い声をしている。 予めわたくしの指示をうけていた侍従が、指揮者に合図を送った。管弦楽の音色が会場に響きはじめた。 自信を持っているだけあって、ダンスがとても上手い。しかし、自分本位だった。わたくしはパウルのキレのあるダンスに、必死でついていく。 「公女様、とても素晴らしいです」 パウルは楽しそうにしている。わたくしは、楽しんではいなかったが、パウルにダンスを下手だと思われたくないと感じ、意地になってステップを踏み続けた。そのせいで、一曲終わる頃には疲れ切っていた。 「自分の思いどおりのダンスができたのは初めてです」 パウルは心から嬉しそうだ。 「早く、パートナーを楽しませるリードができるようになると良いですわね」 わたくしはあえて、嫌みを言った。パウルなら、ダンスに対する意識を変えれば、『塔に来ていた男』のような心地よいリードができるようになるだろう。 「アナスタシア」 兄の声が聞こえた。テラスから出てきて、わたくしが問題を起こしていると気づいたようだ。 「お兄様が怒ってらっしゃるから、あなたはここから離れたほうがいいわ」 わたくしはパウルに声をかけてすぐ、お兄様の方に体を向けた。 「ウーテ様は?」 まだテラスにいるらしい。お兄様は、ウーテのために飲み物を取りに出てきたところで、騒動を知ったのだ。 「お兄様とウーテ様を見ていたら、恋愛をしてみたくなったの」 お兄様はまた頬を赤くしながら「ウーテとは友人なだけで」と訂正してきた。 「あら、わたくしの勘違いだったのね。お手伝いできればと思っていたのに、残念」 お兄様は少し迷いを見せたあと「その話は、また別の機会にしよう」と、言った。 「それより、今はお前のことだ。何を考えて男たちを集めた」 「わたくしはただ、わたくしの好みに合っていて、ダンスの上手な方と踊りたかっただけですわ」 「さっきの者が、好みなのか?」 真面目そうなところに好感を持った。 「まったく外れてはなかったです」 お兄様は「結婚と恋愛は別だとはいえ、お前はいずれ皇太子妃になる身だ。あまり目立った行動はよくない」と、真剣な顔で諭してきた。 わたくしは、いったん深く息を吸い込んだ。 「そう、結婚と恋愛は別ですわね」 わざと周囲に聞こえるよう大きめの声を出した。 「どなたかわたくしを誘ってくれないかしら」 お兄様から口を塞がれた。 「いったん、テラスに出ようか」 お兄様はわたくしの腕を掴んだ。 わたくしはお兄様に連れて行かれながら、招待客たちに『勝手な振る舞いをするわがままな令嬢』というイメージを植え付けられたと、密かに喜んだ。普段は、公爵邸に服飾師を呼ぶため衣装室にはあまり足を運んだことがなかった。 たどり着いたのは、貴族の令嬢たちがこぞって通う『ブラウアー・フォーゲル』という人気の衣装室だった。予約なしでは入れないらしいが、朝一番で公爵家の名を使って無理矢理時間を空けてもらったのだ。わたくしは申し訳なく感じていたが、『傲慢な公女』のイメージを作るのには、有効だった。 店に到着してすぐに、ウーテが馬車の中からいなくなった。御者が扉を開けてくれたので外を見ると「アナスタシア嬢」と、見たこともない男から声をかけられた。 今度のウーテは、栗色の巻き毛を持つ細身の青年に扮していた。整った顔にはまだ少年のあどけなさが残り、灰緑色の瞳がキラリと輝く。唇は花のように色づいていた。薄いベージュのコートがよく似合っている。「ティエリが、アナスタシア様をご案内します」「ティエリ、今日はよろしくね」 ティエリの手を取り、馬車から降りた。御者には公爵邸にもどっておくよう言いつける。 『ブラウアー・フォーゲル』の扉の上には、青い鳥をかたどった繊細な真鍮の看板が掲げられていた。ティエリが扉を押すと、澄んだベルの音が優雅に響いた。甘い香りがあふれ出てきた。 わたくしは、心を躍らせた。ドレスを新調するのは、十年ぶりだった。それに、皇后だったころは自分の好みでは選べなかった。いつでも、皇后らしいドレスを着せられていた。 店内は、驚くほど明るく、開放的だ。床は寄せ木細工で、歩くとヒールが軽やかな音を立てる。クリーム色の壁紙には、うっすらと花模様が浮かんでいる。ドレスのデザインを邪魔しないよう、配慮されているのだろう。 他の令嬢達に目撃してもらえるよう、あえて貸し切りにはしなかった。予約制のため、客はそう多くないが、年頃の令嬢たちは話好きだ。公女が美青年を連れて衣装室を訪れた噂は瞬く間に広がるだろう。 店内のあちこちに、最新のデザインをまとった木製のマネキン人形が置かれていた。胸元を大胆に飾り立てた紫紺のドレス、花飾
マルガレータと過ごした楽しいひとときが終わったあと、わたくしはしばらくの間、自室で招待客リストの確認作業をおこなった。 ツェーザルに惹かれているのは確かだが、『塔に来ていた男』を特定することで見えることもあるはずだと考えている。 わたくしは机の引き出しから一度目の人生での記憶を書きだしてあるノートを取り出した。 塔の中でアンが話してくれた内容はいつも断片的だったが、皇后のときに見聞きした貴族同士の関係性など別の要素を補完すれば、全体が見えるようになるかもしれない。 お父様が招待客を選んだのだから、皇帝寄りの貴族が多いはずだ。ツェーザルを呼んでいたことから、大公側の貴族も含まれていたと思われる。 今現在の貴族の関係性は、お兄様に聞くのが早い。 二度目の人生が始まってから、まだ、三日しか経っていない。過去で、わたくしがマクシミリアンの婚約者となったのは成人を迎えてから半年後だ。それまでに結果を出さなければならない。 やるべきことを、一つ一つこなしていく。 まだ、マクシミリアンからの招待状は届いていない。わたくしは、このまま届かなければいいのにと思っていた。 明日は、もらった招待状に返事を書く予定にしている。出席するのは、三つだけだ。 アンを下がらせ、部屋の明かりを消した。 すると、窓を叩く音が聞こえた。警戒しながら窓に近づいていた。 「私だ」 ツェーザルの声が聞こえた。わたくしは急いで窓を開け、ツェーザルを招き入れた。 「アナスタシア、突然の訪問、すまない」 「ツェーザル様、どうなさったんですか?」 「どうしてもそなたに伝えなければならないことができた」 急用ができたのだ
マルガレータには、公爵邸に来てもらった。アンを呼んで、庭園を見渡せるテラスにケーキやお茶を用意させた。 アンには、少し離れたところに控えておくよう申しつけた。 お兄様に頼んで、招待客のリストを入手してある。 「相変わらず綺麗なお庭」 マルガレータは嬉しそうだ。アカデミーに通っていた頃は時々家に呼んでいた。卒業してからは、皇太子妃教育が本格化して、なかなか時間がとれなくなったのだ。 成人を迎えた日の舞踏会がひとつの区切りとなったので、しばらくはレッスンが休みなのだ。 おかげでわたくしは、皇太子の婚約者候補から外れるための計画が進められている。 ウーテを公爵家で雇い入れる計画は、具体的になる前になくなった。大公の考えはわからないが、ツェーザルは味方になってくれると信じている。けれど、ベイゼルも逃したくない。 将来、活躍をする者が、全員舞踏会に来ていたわけではない。早めに探し出し、公爵家に有利な状況を作りあげる。 なんとしても、皇室の力を削ぎながら、公爵家の基盤をより強固にする必要がある。マクシミリアンが理由をつけて公爵家を排除できないようにするために、常に目を光らせて先回りする。 わたくしには、皇后として国政に携わった知識と経験がある。 そして、塔にいる間に、アンからもたらされた情報の数々。ほとんどが民衆の噂や、週刊新聞の記事、わたくしを題材にした娯楽小説の内容だったが、そこに、マクシミリアンが世論をどう誘導したかの手がかりがあるに違いない。 わたくしにとっては、辛い内容ばかりなので、男の方はそういう内容には一切触れなかった。その優しさがわたくしを支えてくれたのは変わりないが、今は、配慮を知らなかったアンのくれた情報がわたくしの武器となる。 マルガレータも、わたくしが守りたい対象の一人だ。 テラスに用意されたケーキを見て、マルガレータは歓喜の声をあげた。 「公爵家の菓子職人のケーキがまた食べら
ウーテはさきほどから、ツェーザルを質問攻めにしている。わたくしは、ウーテの変わりように呆れつつも、ホッとしていた。『理論上』『魔法の構築』『魔力消費』などの言葉が聞こえてくるが、二人が話している内容をほとんど理解できない。 ウーテはしばらくして、「ツェーザル殿は、天才だ」と、しみじみとした口調で言った。 「ところで、ツェーザル殿も僕と話したがってくれていたのだったね?」 わたくしも気になっていた。ツェーザルの顔をじっと見つめ、返事を待った。 「大公家で働いてほしくて、アナスタシアに仲介を頼んだ」「それは悪いがお断りする」 ウーテは条件を確認する前に断った。 「あなたの現状はある程度把握している。伯爵から結婚するように言われているのだろう?」 ウーテはお兄様と同じ年齢なのだから、普通の令嬢なら、そろそろ結婚を焦り始める頃だ。「僕は、魔法の研究を続けたいから、結婚する気はない」 お兄様が聞けばショックを受けたことだろう。 「研究はただではできないだろう? 伯爵家の支援もこれ以上は期待できないはずだ。あなたがしている『魔力を持っていれば魔法を使えていた時代に戻す』研究には、古い時代の書物や道具など、稀少な物が大量に必要だと思うのだが」 ウーテは顔を顰めた。「まったくもってその通りではあるが、僕にとっては時間も稀少なのだ。大公家の仕事を引き受けると、研究時間が捻出できなくなるだろう」 ウーテの懸念はわかる。大公家は皇室に次ぐ広大な領地を所有している。当然、仕事量も多くなる。 「私が頼みたい主な仕事が、その研究だとしたらどうだ?」 ウーテがツェーザルを睨みつけた。「どういう魂胆だ? そんな虫のいい話を信じられるほど純粋ではないんだよ、僕は」 ツェーザルが口を動かした。 何かを
前回とは違い、目の前にツェーザルが現れるとわかって名前を呼んだ。もう、それほど驚きはしないと思っていたのに……。 ツェーザルがまだシャツの袖の片方しか通していない姿で現れたものだから、わたくしは心臓を掴まれたかと思うくらい、ドキリとした。 数年後には戦争の英雄になるだけあって、鍛えているのがわかる肉体だ。 髪がまだ濡れていて、前髪に滴が光っている。 わたくしはツェーザルから目が離せなかった。 「アナスタシア……嬢……」 名前を呼ばれ、我に返った。 「失礼いたしました」 わたくしは慌てて顔をそらした。頬が熱くなっていたので両手のひらで押さえた。 「すまなかった。今日は報告を受けるのにいつもより時間がかかったせいで、汗を流すのが遅くなったのだ」 ツェーザルが急いでシャツを着ていくのが音でわかる。 「いえ、連日お呼び立てしたわたくしが悪いのです」 「もう、こちらを向いても大丈夫だ」 わたくしがツェーザルの方に顔を向けると、髪まですっかり乾き、整えられていた。 「昨日の今日で呼んでもらえたということは、何か急用ができたのだろう?」 わたくしは頷いたあと「実は、ウーテ様が、わたくしに魔法を使った相手に会いたいとおっしゃっていて……」と用件を伝えた。 「私も、ウーテ・ヘルメルも互いに興味を持ったということだな」 ツェーザルの言葉を聞いて、わたくしは複雑な気分になった。一度目の人生のとき、二人に面識があったかはわからない。会っていたとしても、ウーテが魔塔主に就任して魔塔から出て来た後だろう。 ウーテはお兄様を異性として意識していないけれど、ツェーザルに対しても同じとは限らない。ウーテは自分の魔法に自信を持っていることが、言動や行動の端々に現れている。自分と同等、あるいはそれ以上の魔法が使える相手を目の前にし
「では、いつなら会えるんだ?」 ウーテの勢いに、わたくしは圧倒された。「明日は、わたくしに他の人との約束がありますので、それよりは後になります」「では、最短で明後日だな。それで決まりだ」 わたくしは頷かなかった。「早いうちにお相手の都合を確認します。ウーテ様の都合の良い日時をいくつか教えていただけますか?」 ウーテは「早ければ早いほど良い。決められた日に、何があろうとも行く」と、わたくしの手を強く握った。 ツェーザルもウーテもお互い強く会いたがっている。『惹かれあっている』気がして、わたくしの中に苛立ちに近い感情が芽生えた。「ほかの方に興味が移ってしまわれたので、もうわたくしのお手伝いはしていただけそうにないですね」 ウーテは強く顔を左右に振った。 「そんなわけがあるはずないだろう。先に一つの疑問があって、また別の疑問が湧いたとしても、最初の疑問が解消されるわけではない。僕にとっては、君と会うことも、名も知らぬ魔法師と会うことも等しく大切なことだ。そもそもこの二つの疑問に、まったく関連がないとは限らない。なぜなら、僕が君に惹かれるように、その魔法師も君に惹かれているみたいだからな」 わたくしの持つ魔力に惹かれているという意味だろうか。ウーテのものではない見知らぬ男の顔で言われると、口説かれている錯覚に陥る。わたくしは落ち着かないので話題を変えることにした。 「ウーテ様、わたくしが魔力を持っているとおっしゃっていましたが、どうすれば魔法を使えますか?」 ウーテはなぜか気の毒そうな顔でわたくしを見た。 「魔力を持っていればみな魔法がつかえるわけではないんだ。なぜ僕が魔法師になったと思う?」 わたくしは「魔力があったからではない……のですね?」と返した。「本当に君は、ジェラルドの妹か? どうしてそこまで聡明なんだ」 お兄様は十分聡