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第6話

Penulis: ゼンエツ
朔也が八歳の時、道端で小さな捨て猫を見つけた。

毛色は薄汚れた灰色で、雨に濡れてずぶ濡れだった。

痩せこけた小さな体に、毛が束になって張り付いている。

あまりに小さすぎて、鳴き声さえか細かった。

その小さな目は必死に見開かれ、彼を見つめていた。

恐怖と、懇願に満ちていた。

朔也の心の一番柔らかい場所が、瞬時に撃ち抜かれた。

彼は急いで母親の手を振り払い、抱き上げて家に連れて帰ろうとした。

しかし潔癖症でペット嫌いの両親は断固として認めなかった。

彼が泣いて頼んでも、暴れても、雨の中で転げ回っても、声を枯らして叫んでも……

返ってきたのは、母親が猫を奪い取って道端に投げ捨てる冷たい仕草と、父親の容赦ない平手打ちだけだった。

そして強制的に連れ帰られた。

まだ子供だった彼は、初めて無力感というものを味わった。

結局、両親が決めたことには逆らえない。

五歳から寝る前に英単語を100個覚えさせられることも。

嫌いな野菜を無理やり食べさせられることも。

近所の同い年の子供たちとドッジボールをするのを禁じられることも。

彼は一度も逆らえなかった。

けれどあの日から。

あの濡れそぼった哀れな子猫の姿が、彼の心にずっと残り続けた。

何度も夢を見た。あの子が全身の力を振り絞って、濡れた小さな前足で彼の方へ這ってくる夢を。

淡いブルーの瞳に無力感と哀願を湛えた姿を。

目が覚めるたび、枕カバーは涙でぐっしょりと濡れ、胸がえぐられるように痛んだ。

後に彼は成長し、「執着」という言葉を学んだ。

そしてようやく気づいた。あの少年時代の小さな子猫こそが、彼の生涯の執着になるのかもしれないと。

そんな時、彼は詩織に出会った。

狭く入り組んだ路地裏。

色とりどりの髪をした、ガラの悪いチンピラたち。

下卑た笑みを浮かべ、白いワンピースを着た痩せっぽちの少女を取り囲み、じりじりと追い詰めている。

近道をして帰ろうとしていた朔也は、その場面に偶然出くわした。

十七歳の彼はすでに背が高く逞しく成長していた。

幼い頃から両親に体作りを強制されていたこともあり、まともな飯も食っていないような猿みたいに痩せた連中など、一人で片付けるのは造作もなかった。

ただ、こういう揉め事に関わるべきかどうか……彼が迷っていた時。

少女が足音に気づき、素早く振り返
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