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38話「段ボールの奥」

Author: 団紡るう
last update publish date: 2026-07-24 12:17:36

 土曜日の朝、電車に乗った。

 真衣から連絡が来ていた。「今日の午後、遊びに行っていい?」というメッセージだった。昨日の夜に来ていた。返信しなかった。

 実家の最寄り駅で降りた。

 以前から母から"一度掃除に来て欲しい"と言われていたのを済ませるためだった。

 母からは「午前中は買い物に行く」という連絡が以前に来ていた。父は仕事だった。真衣と雅之も、午前中は出かけているはずだった。

 誰もいない時間を選んで来た。

 玄関の鍵を開けた。

「ただいま」

 声が出た。誰もいなかった。返事がなかった。

 靴を脱いで、廊下を歩いた。静かだった。家の中の静かさが、豪邸の静かさとは違った。物が多くて、においがして、でも誰もいない静かさだった。

 リビングを見た。テーブルの上にベビー用品のカタログがあった。真衣のエコー写真が冷蔵庫に貼ってあった。

 通り抜けて、廊下の奥の部屋へ向かった。

 かつて瑠衣の部屋だった場所だった。赤ちゃんの部屋になる予定と聞いていた。今日はその部屋を片付けるために来た。

 扉を開けた。

 思っていたより片付いていなかった。荷物は少なくなっていたが、押し入れはまだ使われてい
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  • 結婚式の端っこで、君と乾杯を   3話「鍵」

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