Partager

第19話 裏切り者たちへの第一射

Auteur: 宵更カシ
last update Date de publication: 2026-07-05 08:08:27

 あんな事をされて、

「私には受け取れないわ」

 パーティーの二日前。

 ツナの皿を挟んで、慎ちゃんに告げていた。

「・・・・・・理由を聞いても良い?」

「勇気がないの・・・・・・あの人達と戦う勇気が」

 父が会社を退いた後、私は一生懸命に頑張った。

 お客様に対しても誠実でいて、従業員のみんなに感謝と尊敬を忘れない。

 その意志を継承して、血と涙と汗を賭して率いてきた。

 でも・・・・・・その報いが、恋人の裏切りとあの放浪というのなら。

 それに、どんな証拠を出したって、絶大な信頼の失墜を挽回できるとは、とても思えなかった。

「昔、香織が言ってくれた言葉があるよね」

「え?」

「いいや無理にとは言わないんだ。香織がしたいこと、やりたいこと、笑顔になってくれることが最優先だから。けど・・・・・・いいや、これは独り言として聞いて欲しいんだ」

 言うか言うまいか。困惑した表情を慎ちゃんはしていた。

 でも、呼吸を一つ踏むとその風格は私の知っている彼とは一線を画す。

「立ち向かいなさいって」

 何気ない言葉というものは、思い出にも残らない。

 きっとあのときの私は、泣き止んで笑って欲しいか
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第21話 共犯関係

    私は部屋で思いっきり吐いた。 口にして、しかも絶賛した料理があの女のだと知ったからだ。 気持ち悪い・・・・・・気持ち悪い気持ち悪い。 「いつまでそうしてる気だ羽海」 「うるさいっ!」 化粧水の瓶を投げる。 なんであの女が、綱島と一緒に! 彼の隣にいるのは私が相応しいのに。 権力と財産の隣にいるのは私なのに。 ちょっと出来が良いからって、すぐに私を足蹴にしてくる。 日野内 香織・・・・・・私の幸せを片っ端から奪っていく厄介な女。 許さない・・・・・・絶対に許さない! 拳に力が入り、ここでは発散しようのない怒りがこみ上げてくる。 すると純のスマホがやかましく鳴った。 「どうした・・・・・・あぁ例の件か。あんなボロ船、売ってやれ」 「ボロ船・・・・・・?」 聞こえてきた内容に覚えがなく、私は純に詰め寄る。 「ねぇボロ船って何?」 「お前には関係ない」 純の仕事の事はある程度、私も把握している。 でなければ、この無能が儲けを出すことは難しいし、何より日野内を乗っ取ったことのボロが出る。 彼は目を逸らして誤魔化そうとするが、 「私言ったよね? 隠し事は無しだって。あぁそれと綱島慎太郎となんの話をしていたの?」 「だからお前には」 「あぁそう。じゃあ豚箱にぶち込まれても文句ないのね」 純の顔が引き攣る。 「じょ、冗談だよ・・・・・・綱島から日野内の豪華客船を売ってくれと頼まれた」 「・・・・・・それで?」 「呑まなければ日野内の株を暴落させたことを公表すると脅された・・・・・・呑まざるを得なかったんだ」 細々とした声で白状する純。 あんな爽やかな顔をして、かなり強引な手段なのねあの人。 感心しながらも、私は純の顔を上げてそっと口づけをする。 「そんなのブラフよ。でも、引き離されたのは少し痛手だったかしらねぇ」 この人は私がいないとロクに仕事ができないんだもの。日野内を奪い取れたのだって、私がいたから。 「ねぇ純。ちょっと良いこと思いついたんだけどぉ」 「・・・・・・もう綱島には関わらない方が良い」 そう寝ぼけた事を言い出す。 軟弱な男。 日野内の金と権力を握っても、それ以外が乏しい残念な男。 「怖がることないわよ。また乗っ取った時みたいに上手く行くわ・

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第21話 バスローブから覗く物

     グランシャリアのスイートルームで薄い桃色のワインを一口飲む。 慎ちゃんが用意してくれた祝杯。今まで飲んできたどんなお酒よりも美味しく思える。 終わってみると、あの緊張や恐怖が嘘のように吹き飛んでいる。 何より、プレゼンをしている彼の雰囲気に、舞台上でも飲まれていた気がする。「おまたせ」 声がしてバスルームの方に向く。 そこにいたのは紛れもない慎ちゃん。 だが、バスローブから覗かせるその筋肉に、思わず見蕩れてしまった。「どうかした?」「う、ううん!」 スーツ越しでは気がつかないほどの隆々とした筋肉。 いじめっ子に囲まれていた姿が嘘のような肉体美に思考が硬直してしまったのだ。「えっとそのぉ」 身体をまさぐるような視線。慎ちゃんも流石に気がついて、「会社に入ってから、漁に出てた時期があったんだ。それで身体が仕上がった」「漁に?」 きっと船頭さんのような立ち位置なんだと、勝手に想像していた。 だって水産業では誰もが知る企業の社長だ。「そうだよ。太平洋でクロマグロを追ってたんだ。うちは一本釣りだったから、100キロの奴とかいた」「凄いのね慎ちゃん」「だから、こんなこともできるんだ」 そう言って、私の膝と首元に腕を回すと、「きゃっ」 ふわりと全身に浮遊感がある。「お姫様になったみたい」「香織は僕のプリンセスだよ」 甘いマスクからそんな言葉が放たれるとは思ってもみない。 私はあからさまに目を彷徨わせ、照れてしまった。「もっと褒めてくれても良いんだよ?」 私をソファに下すと、上目遣いの慎ちゃんにそんなおねだりをされてしまう。 体つきとは対称的で、甘えん坊なのは昔と変わらない。「そうだね。よく頑張りました」 頭を撫でると、子犬のように喜んでくれる。「でもビックリした。レストランのオーナーって、いつの間に考えてたの?」「元々、レストランを開く構想はあったんだ。後ろから豪華客船を見てピンと来た。それにこのツナは今日来てくれた人達に絶賛だったからね」 私はクスリと笑う。「まぁ仕事の話はこれくらいにしてさ」 そっと慎ちゃんはワイングラスを持つ私を抱きしめた。「香織の匂い、凄く安心する」「・・・・・・少し汗臭いかも」「良いんだよ。一緒に遊んだ時の事を思い出す」 すぅっと私の匂いを嗅ぐ。 首元に吹かれる呼吸が

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第20話 第二の槍

     受け取る決心をしたのは、慎ちゃんから勇気が貰えたからだった。 遠目に見える純と田沢湖 羽海の顔が青ざめている。「我が社が保有する十万株。全てを明日の取引開始と共に譲渡いたします。今回の不祥事に対する、我が社のけじめです」 参加者を見渡すと、皆が顔を見合わせて当惑していた。 当然の反応だと、私は思う。 不祥事の誤解を解く暇もなく、社長が雲隠れしたような状態だったのだもの。「今回の騒動を踏まえて、我が社に賛同していただける方は、本日の新規事業への投資をしていただきたい」 慎ちゃんはそう前置きをして、モニターの映像を変えた。 映し出されたのは、ツナ缶である。 しかし私がリムジンの中で食べたものとは、パッケージも中身も明らかに違っていた。「これ・・・・・・私の?」 あまりの仕事の速さに私は小声で驚いていた。「中身に見覚えがございましょう。皆様にご試食、絶賛していただいたのは、『ツナのコンフィ』の缶詰でございます」 感嘆を物ともせず、彼は言葉を継いだ。「そう――まさしく、本日皆様に振る舞わせていただいた缶詰が、我が社が全身全霊を持って世界へ売り出す新商品です」 販売という言葉が電撃の如く会場を奔る。 まさか、高級料理のように出されていたものがツナの缶詰だとは思うまい。 事実、それを知って腰を抜かす参加者もいた。「このツナ缶は私一人の力では成し得なかった商品。その立役者を紹介いたします――我が社の新しい役員、そして、クルーズレストラン『グランガルフ』のオーナー、日野内 香織氏です」 注目が一挙に集中する。 そんな中、私は慎ちゃんに視線が行った。(レストラン?)「二つ目の事業——綱島グループが送るクルージングレストランです」 発表が終わると、私と慎ちゃんはすぐさま囲まれてしまった。「ほっほっほ。君の仕掛けには毎回、驚かされるよ」 穏やかな笑い声だったが、囲んでいた企業の重役達を一斉に動かす。 開いた道の先に、慎ちゃんは一礼した。「結城様、ご無沙汰しております」「先ほどのコンフィ。見事であった。これほど美味しいマグロは食べたことがない」「ありがとうございます」 気品のある白い髭を擦りながら、満足そうに言う老齢の男性。 結城 ダンゾウ。結城金融の会長でこの国の財界を牛耳っている二大巨頭の一人だ。「全て彼女のおかげです

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第19話 裏切り者たちへの第一射

     あんな事をされて、「私には受け取れないわ」 パーティーの二日前。 ツナの皿を挟んで、慎ちゃんに告げていた。「・・・・・・理由を聞いても良い?」「勇気がないの・・・・・・あの人達と戦う勇気が」 父が会社を退いた後、私は一生懸命に頑張った。 お客様に対しても誠実でいて、従業員のみんなに感謝と尊敬を忘れない。 その意志を継承して、血と涙と汗を賭して率いてきた。 でも・・・・・・その報いが、恋人の裏切りとあの放浪というのなら。 それに、どんな証拠を出したって、絶大な信頼の失墜を挽回できるとは、とても思えなかった。「昔、香織が言ってくれた言葉があるよね」「え?」「いいや無理にとは言わないんだ。香織がしたいこと、やりたいこと、笑顔になってくれることが最優先だから。けど・・・・・・いいや、これは独り言として聞いて欲しいんだ」 言うか言うまいか。困惑した表情を慎ちゃんはしていた。 でも、呼吸を一つ踏むとその風格は私の知っている彼とは一線を画す。「立ち向かいなさいって」 何気ない言葉というものは、思い出にも残らない。 きっとあのときの私は、泣き止んで笑って欲しいから言っただけだと思う。 一言一句、覚えているわけじゃないけど、確かに言った記憶があった。(その言葉で一念発起して、慎ちゃんは私を迎えに来て――)「香織?」 ハタと、薄暗い舞台裏。 舞台の幕が開く数瞬前、慎ちゃんに呼ばれて我に返った。「緊張してるのかい?」「ううん。ちょっとだけ、小さい頃の事を思い出した」 私は握られた慎ちゃんの手にゆっくりと強く握る。「それって、もしかしてだけど僕がいじめられてたところかな? 泣き虫だったから、恥ずかしいな」 クスっと笑ってしまう。「正直なんだから・・・・・・違うわ。勇気を貰った話」「・・・・・・僕が?」「そう。慎ちゃんが」 彼が上の空になっている。「慎太郎様、出番です」「じゃあ、また後で」 私が繋がった手を離すと、名残惜しそうな目で舞台に上がっていく。 マイクを取った彼は、スッと社長の顔になっていた。「本日は我が社の新事業発表会にお集まりいただき、ありがとうございます。早速ですが、今年の秋より我が社が行う事業について・・・・・・」 言い掛けて、彼は言葉を止めた。 会場が何事かとザワついているのが、ここにも聞こえ

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第18話 慎太郎は揺るがない

     全てが青の大海原へ捨てられるトラウマが、二人の面影を見た瞬間に蘇る。  落ち着かないと・・・・・・暗示のように唱えても、その震えは止まらない。 (慎ちゃんの前で意を決して言ったのに)  会場に来るまでの自信を失いかけていたとき、 「僕がついてる。何があっても、君の味方だからね」  耳元で優しい声音が囁く。  手の握りが微かに強くなるのを感じて、彼へ頷く。 「なぜ綱島といる。サマリアから帰ってきたのか」 「純には、もう関係ないでしょう?」  捨てた女のことなど、もはや純には関係ない。  しかし、彼の剣幕はだんだんと恐ろしくなっていく。 「答えろ香織! そうか・・・・・・お前、あの時計を担保にして」 「そんなことしてないわよ。仮にしてたら、どうするの?」  そう尋ねると、純は目を逸らして気まずい表情に変わる。 (聞かれても答えられないものね)  その様子を社交的な笑みで見つめる慎ちゃん。だが、瞳はとても笑ってるそれとは思えない、冷徹さが浮かぶ。 「あぁ失礼した。綱島さん。挨拶が遅れましたね。一条です。どうぞよろしく」 「いえいえ。まさかここへ来られるとは思いませんでしたよ。あぁ、こちらも是非」  そう言って慎ちゃんが渡したのは、純白の皿に載ったマグロのコンフィ。  二人が口に運び、 「なんだコレ!」 「おいしいわ。こんなの食べたことない」  絶賛するのを前に、私はクスッと笑ってしまう。 「そう言って貰えて光栄です。あの一条のご子息なら、数多の高級料理を食されてきてると思いますから、間違いない」  心にもない事を連ねる慎ちゃん。  すると、 「あのぉ。私、田沢湖 羽海って言います。一条グループでは経理をやっていたんですがぁ、今は取締役をやらせていただいててぇ。そのぉ、綱島さんみたいな魅力的な男性に」  ドレスの肩紐をわざとらしく乱すと、慎ちゃんに迫ってくる。 「ありがとう。でも僕は興味ないかな」 「・・・・・・え?」  一瞬、私を見てウィンクすると、 「専らの仕事人間でね。一条君の手腕に心惹かれてるんだ。ぜひ二人きりで仕事の話でも」 「そ、そうなんですね! じゃ、じゃあ私は香織さんと少しお話したいなぁ。そちらはそちらで、ね?」  私は繋いでいた手を無理矢理剥がされて、羽海に連れて行かれた。 (パーティー

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第17話 グランシャリア――再会

     『グランシャリア』。 都内臨海地区に建てられたインバウンドを目的として開業した高級リゾートホテル。 綱島グループが持つここで、新事業のパーティーを開くと招待があった。 二人揃って赤のタキシードとマーメイドドレスで、俺達は会場へ降り立つ。「一条様、お待ちしておりました」 シャンデリアの下がるエントランスで、招待状を渡す。「綺麗。ねぇ、今夜スイートルームを取りたいのだけど」「おい羽海。この後、仕事があるんだぞ」「いいじゃなぁい一晩くらい。貴方、一条の社長なんだから」 その名前が出たら、どんな客の予約も断らなきゃならなくなる。 俺は羽海に微笑みを向けながら、受付の男を一瞥するが、「申し訳ありません。今夜は埋まっております」「ホテルマンさんよ。もう少し商売の相手を選んだ方がいいぜ?」 スッと名刺と札を握らせようとする。 しかし、男は目を眇めて、「我々の信条は、どんなお客様にも平等におもてなしをすること。貴方が誰であれ、今夜のお部屋はお取りできません」「はぁ・・・・・・ちょっと耳を貸せ」 融通の利かない奴だ、と呆れる。「俺は一条の社長だ。お前ごときホテルマンの一人、簡単に切れるんだぞ」 黙りこくる男に、俺は無理筋を通せたと確信した。 だが――「やってみせてください。うちの社長は、誰かの流言で靡くような小物ではない」 その台詞が返ってきた瞬間、俺は青筋を立てる。 だが、ここは綱島グループの箱庭。 いずれ俺の物になるのだから、そのときまで取っといてやる。「・・・・・・そうか。なら覚悟しておくんだな。行くぞ羽海」「えぇースイートは?」「今日は無理だ」「なんでよ! 私のお願いが聞けないってわけ?!」 羽海が騒ぎ始める。 その口を抑え、人気のないところへ連れて行く。「ここは綱島の領地だ。騒いでも、恥を掻くだけになる。俺もお前も」 恥、という言葉にこいつは弱い。 いつもなら日野内を乗っ取った件で揺すられるが、今日は聞き分けが良い。 その場は引き、俺達はパーティー会場の大ホールへ入った。 参加者は錚々たる顔ぶれで、政財界のトップや大手企業の社長、綱島グループの広告を担うスター俳優が一同に揃っている。 俺はシャンパンを取り、会場を見渡す。「ねぇ純。あそこにいるの」「あいつが綱島 慎太郎か」 羽海の指さす先。 

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第7話 没落の真実と信ずる者たち

    「私が慎ちゃんの秘書に?」 朝食を食べ終えた折りに、慎ちゃんは興奮気味に言う。「秘書になれば、ずっと一緒にいられるし、仕事に精が出る。勿論、タダでってわけじゃないよ? 細道」「こちらが秘書としての働いて頂いた場合の年俸になります」 額面を見て唖然としてしまう。 日野内グループの取締役を優に超えていたからだ。 けれど、私は秘書の経験もないし、むしろお願いしていた側。 慎ちゃんの仕事の足手まといにならないか心配で、表情が険しくなる。「仕事の事は心配しないで香織。細道もサポートしてくれるし、日野内のおじさんの元でやってた仕事と同じようにしてくれれば良いからさ」「そ、そう・・・・・

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第6話 仮面の裏と表

     二十年分の思い出話。 ディナーの時間も忘れ、僕たちは語り合って、「それでね。保健室に運ばれたって聞いた香織のお父さんが教室に飛んできて」 そんな話の折り、彼女がコクリ・・・・・・コクリと頭を揺らしていた。 その隣に行くと、ビクリと肩が上がる。「ごめんなさい。ちゃんと聞いてるから、大丈夫」「ううん。長旅で疲れたよね」 彼女の頭を肩へ寄せると、数分としないうちに寝てしまった。 髪がふわりと揺れ、毛先がうなじに触れる。「優しいよね。いじめられたときも転んだときも、ずっと優しくしてくれて」 昔からずっとお姉さんみたいだったけれど、「大きくなって、綺麗になったね」 耳元で呟く

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第5話 意外な最初の反撃

     邪魔者が消えた客船で、「んんぅもっとよぉ純」 寝言を言う羽海の隣で、俺は人生最高の朝を迎えた。 日野内グループの不正が世に出回り、暴落した株を俺達『一条グループ』が買い占めた。 これで莫大な資産、そしてこの船は俺の物。「お前は最高の女だよ羽海」 成功の喜びで恋人と唇を交わし続けた俺は、横に寝る女の頬を撫でる。 『田沢湖 羽海』が不正の話を手にしていなかったら、俺はあいつの言いなりになっていただろう。 親父の代から、日野内の奴らは気に食わなかった。 俺達が築き上げてきた業績を、まるで自分の功績のように語ってのし上がりやがって。 だが、あそこまで蔑まされて、反撃の一つもでき

  • 豪華客船で棄てられた社長令嬢の私が、海を統べる剛腕御曹司(幼馴染)に溺愛されています   第4話 エルアリナイトの王様

     船が港に着く。 そこはサマリア沖にある小さなリゾート島だった。 その名は、「ようこそ『エルアリナイト』へ」 慎ちゃんが両手を広げて歓迎してくれる。 背景にはリゾートホテルやコテージが建ち並ぶ。 そして誰もが、足を止めて彼を見つめていた。「慎ちゃんの島って、ここが?」「そうだよ。驚いた?」 驚くなんて言ったものじゃない。 この島は国内外のあらゆる富豪やセレブが一度は訪れたいと口にする高級リゾートだ。「でも海賊が出るんじゃないの? この辺りって」「その辺は心配ご無用。我が社の警備がついてますから」 見渡すと、来島する人達の船とは別に乗ってきた船のような無骨な船が数隻留

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status