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空を知る街ヤンガミ編 EP3 グリンベールの未知

مؤلف: ふわり
last update تاريخ النشر: 2026-06-30 20:58:27

生まれてからアルフレアを一度も離れたことのないルーナにとってはワクワクとドキドキの共存だった。

対してカタリナは、幼い頃からあらゆる街を見てきた。他国の恐ろしさや、移動の危険性を全身で理解している。

アルフレアを出てから、馬車で丸2日が経過している。途中小さな集落で小休憩を挟んだりもしていたので、カタリナの予定よりも2日は遅れる見込みだ。

「おーい英雄さんよ。この先に少し大きい村があんだ!今日はそこで休まねぇか?」

運転手がそう言うと、カタリナはカーテンの隙間から外を見た。

(もうすぐグリンベールか…。)

「そうね。その村にお邪魔しましょう。」

カタリナは運転手にそう告げると、ルーナの方に顔を向ける。

「ルーナ。ここから先はアルフレアの領地ではなくなる。何が起きても私から離れてはダメよ!」

ルーナは静かに頷いた。眠たかったのだ。

(アルバレム村)

大陸最強と謳われる大国シュプルーン王国の領土であり、(霹靂の村)とも呼ばれている。

夜になると山賊が暴れ回っており、王国騎士団と激しい戦闘の音が常に響いていることからそう名付けられたとか…。

「英雄さん。嬢ちゃん。着いたぜ!オラは馬に水浴びせてくっから、また朝落ち合おう。」

運転手はそう言うと、馬車を走らせた。

「さて。ルーナ。宿で休みましょう。」

「そうね。」

2人は宿に向かった。村には小さな宿があった。

宿主は親切に部屋へと案内してくれた。

「旅のお方。夜になると騒がしくなりますが、騎士団様が守ってくださりますので、ご安心してお休み下さい。」

「わかりました。ありがとうございます。」

宿主の話にカタリナは例を告げた。

宿主は深々と頭を下げて、部屋を出ていく。

「ルーナ。今日はもう寝なさい。」

「お母さんもね。」

2人は寝床に着く。

母の横の安心感を久しぶりに感じることが出来て、ルーナはすぐに眠りについた。

カタリナは、その寝顔を見て少し微笑んだ後、小箱からフレアリングを取り出し自らの右手につける。

嫌な予感が拭えない。いつでも戦える準備を整えておいたのだ。

深夜2時を越えた頃。

外が騒がしい。激しくぶつかる金属音。さらに生身が焼けるような異臭。

(始まったか…。)

カタリナはルーナを起こさないようにゆっくりと起き上がる。

(シュプルーン騎士団の強さは知っているが、ここの山賊は恐らく…。)

思い当たる節がある。

カタリナはゆっくりと立ち上がり、宿から出る。誰にも見られないように慎重に。

外の光景は、あの頃のスカーデット王国を思い起こさせる。

(争いってのは無くならないものなのね…。)

カタリナの目の前では、シュプルーン騎士団の紋章の入った戦士が1人、今にも首を切り落とされそうになっている。相手は4人の山賊。

カタリナはフレアリングを見つめた。

(随分と久しぶりね。またよろしくね。)

そう心で呟いた後、4人の山賊を真っ直ぐに見据えた。

「炎の裁きを喰らいなさい。炎剣の舞!!」

リングから放たれた炎は剣の形を形成して、カタリナの踊るような動きに合わせて、炎跡を残す。

そして残ったのは4人の遺灰のみ。

「あなた。大丈夫かしら?」

カタリナは騎士に声をかけた。

「ありがとう…ございます…。」

「傷はそんなに深くないわ。致命傷はきっちりと避けたようね。さすがはシュプルーンの騎士と言っておきましょうか。」

嫌味ではなく、カタリナなりの褒め言葉である。

「あなたは…いったい…?」

「私はカタリナ。(炎の巫女)って言えば伝わるかしら?」

騎士は驚いた。

「ま…まさか…!!あの伝説の…。」

「なんでもいいけど。とにかく、今は山賊を止めましょう。あなたは少し休んでなさい。」

そう伝えると、カタリナは壁を飛び越えて、さらに戦地の深くへと走っていく。

(ここにいる山賊は下っ端ばかり。でもおそらくこの山賊団…。いや決めつけるのは早いわね。自分の目で確かめないと。)

カタリナは最も戦闘が過激な西側へとやってきた。

そこにいたのはたった2人の山賊と、10は越えるであろう騎士たち。

(あの2人…。やはり…。)

カタリナは近くの大木の幹に飛び乗って、観察する。

騎士たちが2人の山賊に襲い掛かる。

しかしその刃は体を貫けない。むしろ…。剣先が折れている。

(やはり…。サウンズロッドの亡霊…。グリンベールか…。)

カタリナは飛び降りて、炎剣を持つ。

「女?燃えた剣なんて持って何しようってんだ?」

山賊の問いかけにカタリナは少し苦笑いを浮かべる。

「あなたたち。グリンベールか?」

カタリナの口からその名前が出た瞬間、2人の山賊の表情が変わった。冷たく…鋭く…。

「おまえ。まさか。炎の巫女?」

山賊の1人がそう聞くと、カタリナは炎の剣を高らかに空に掲げた。するとその周囲に円を描くように炎の渦が巻き起こる。

「いかにも。私が炎の巫女よ。サウンズロッドの亡霊さん。」

それを聞いた山賊の1人は、高らかと笑った後、カタリナに向かって突っ走る。

「国を壊した破壊者に俺が引導を渡してやる。」

「おい…。やめろ!!」

もう1人の山賊が止めるのを無視しての猪突猛進。

「炎剣の舞。」

カタリナの一振りで、山賊は倒れた。

まさしく一瞬の出来事だった。

「そっちはどうする?」

カタリナはもう1人の山賊に問いかける。

「く…くそ…まさか炎の巫女が出てくるとは…。」

「あなたはアジトに帰って、このことを伝えなさい。炎の巫女がグリンベールに宣戦布告をした。とね。」

「く…。」

カタリナは炎剣を一振りした。辺りに火の粉が舞う。

「ほら。早く行きなさい。」

山賊は怯えた表情で走り去った。

(グリンベール…。決着はつけないといけないと思っていたから好都合よ。)

カタリナは宿に向かって歩いた。

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