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第四十一話

Penulis: 久遠遼
last update Tanggal publikasi: 2026-07-30 11:06:39

玲司はスマホを耳に当て直し、私に背を向ける。

「……わかった。今から行く」

掠れていたはずの声には、もう迷いがなかった。

「玲司……?」

呼び止めても、彼は振り返らない。

さっきまで私たちの子供を、生まれてこない方がよかったと言っていた人が、別の女の妊娠を告げられた途端、そのもとへ駆けつけようとしている。

あまりにも残酷だった。

それでも一言ぐらい、私に何か言い残してくれるのではないか。

そう期待したけれど、玲司の足音は遠ざかっていくばかりだった。

やがてその背中は墓石の並ぶ道の向こうへ消え、私は冷たい風の吹き抜ける墓園に一人取り残された。

追いかける気力はなく足元から力が抜け、その場に膝をつく。

目の前には、白峰紗良と刻まれた墓標がある。

添えられた遺影の中で、紗良さんは穏やかに笑っていた。

「……あなたは、どう思うの?」

問いかけても、答えが返ってくるはずはない。

「玲司の言っていることは、本当なの?」

私の母が、娘である私を救うために紗良さんを見捨てた。

玲司の口から突きつけられた話は、あまりにも衝撃的だった。

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