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第10話(37)

Author: 北川とも
last update publish date: 2025-12-30 08:00:04

「千尋、がんばって全部食べろよ。お前のために、買ったんだから」

「全部食べるまで、先生が隣にいてくれるなら」

 横目でじろりと見ると、千尋ににんまりと笑いかけられた。その千尋の唇の端に、チョコレートがついている。ここで指先で掬い取ってやるほど甘くない和彦は、反対に、指先にクリームをたっぷり取って、千尋の高い鼻につけてやる。しかし、千尋も負けていない。目をキラキラさせて、和彦の頬にクリームをつけてきた。

「――生意気」

「いくら先生が年上でも、こういうところじゃ遠慮しないよ、俺」

「よし、わかった。ぼくも遠慮しない」

 和彦の言葉に、またクリームをつけられると思ったのか、犬っころのような従順さを発揮した千尋が、ぎゅっと目を閉じて待ち構える。その顔を見た和彦は、必死に笑いを噛み殺しながら、鼻につけたクリームを指で掬い取ってやる。

「あっ……」

 目を開いた千尋に、その指先を突きつける。

「食べ物は、粗末にしない」

 和彦の意図がわかったのか、千尋は素直に指先
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  • 血と束縛と   第2話(25)

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    last updateLast Updated : 2026-03-18
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