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第11話(34)

作者: 北川とも
last update 公開日: 2026-01-06 14:00:53

 自分がこれから慈しむ――もしくは慈しんだ体を洗っていると、とても優しい気持ちになれる。自分がこんなにも愛情深い人間だったのかと、驚かされたりもするのだ。何より、三田村が惜しみなく与えてくれる愛情を、触れ合う肌から感じ取れる。

 三田村の頬を撫でてから、軽く唇を吸い上げた和彦は、スルッと腕の中から抜け出して、三田村の背に回り込む。泡だらけとなった手で濡れた虎を撫でると、湯の熱でいつもより赤みを帯びた筋肉質の体がビクリと震える。

「動くなよ、三田村。洗えない」

 背後から三田村の耳元に囁いた和彦は、子供のように楽しみながら、三田村の背をてのひらで丹念に洗ってやる。

 賢吾の背にある大蛇の刺青は、強烈な魅力を放つ分、怖くもある。だが、三田村の背で咆哮を上げている虎の刺青は――どこか温かみがある。それは、刺青を通して感じる、三田村自身の温かさだ。だから、この虎は怖くはない。むしろ、愛しい。

 三田村の虎を泡だらけにしてしまうと、シャワーヘッドを手に、一気に洗い流す。和彦は、気持ちの高ぶりのままに虎の刺青に舌を這わせ、舐め上げる。
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