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第17話(26)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2026-02-25 20:00:37

 思わず謝罪したことで、守光の指摘の正しさを認める。そんな和彦を咎めるでもなく、むしろ反応を愛でるように守光は目を細めた。一方で、相変わらず和彦の手に触れ、指を一本ずつ撫でてくる。

「あんたを大事にしたいと考えているのは、何も長嶺組だけじゃない」

 返事の代わりに和彦は目を見開く。ズバリと切り込むように、守光が低い声で告げた。

「総和会で、あんたの身を預からせてもらえないだろうか――と考えている」

 恫喝されたわけではない。だがこの瞬間、和彦は得体の知れない不安と恐怖を感じていた。巧妙に仕掛けられた罠にかかってしまった小動物の心境とは、こういうものなのかもしれない。足りないのは、絶望的な痛みだけだ。

 どういう意図からの提案なのか、無意識に唇を舐めてようやく問いかけようとしたとき、襖の向こうから聞き覚えのある声がした。

「――オヤジさん」

 誰の声かわかった途端、和彦は体を強張らせる。そんな和彦の手をぐっと握り締めて、守光が応じた。

「南郷か」

「はい。ちょっとよろしいですか」

 
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