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第19話(10)

Auteur: 北川とも
last update Dernière mise à jour: 2026-03-10 20:00:29

「――さっきの続きはさせてくれないのか? ぼくは、お前を甘やかす気満々なんだが」

 嬉しそうに顔を綻ばせた千尋は、和彦のバスローブを脱がせながら、ある提案をしてくる。さすがの和彦も困惑するが、淫らな好奇心が上回る。千尋の欲望に引きずられたのかもしれない。

「んっ……」

 体を横向きにして、千尋の欲望を再び口腔に含む。同時に千尋が、和彦の欲望を口腔に含んだ。

 頭を互い違いにして、欲望を含み合う行為は、初めてだ。この行為を試してみたいと考えたこともない。身を焼かれるような羞恥が和彦を苛むが、一方で、とてつもなく淫らな行為に耽っているという実感に酔いそうになる。

 しかし、千尋はもっと大胆で、行動的だった。

「うっ、ああっ……、千尋、この格好は、嫌だっ」

 ベッドに仰向けとなった千尋の上に、和彦はうつ伏せで体を重ねる。それだけではなく、千尋の眼前に、秘裂がよく見えるように両足を開いた姿勢で。そして和彦の眼前には、身を起こした千尋の欲望がある。

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  • 血と束縛と   第19話(10)

    「――さっきの続きはさせてくれないのか? ぼくは、お前を甘やかす気満々なんだが」 嬉しそうに顔を綻ばせた千尋は、和彦のバスローブを脱がせながら、ある提案をしてくる。さすがの和彦も困惑するが、淫らな好奇心が上回る。千尋の欲望に引きずられたのかもしれない。「んっ……」 体を横向きにして、千尋の欲望を再び口腔に含む。同時に千尋が、和彦の欲望を口腔に含んだ。 頭を互い違いにして、欲望を含み合う行為は、初めてだ。この行為を試してみたいと考えたこともない。身を焼かれるような羞恥が和彦を苛むが、一方で、とてつもなく淫らな行為に耽っているという実感に酔いそうになる。 しかし、千尋はもっと大胆で、行動的だった。「うっ、ああっ……、千尋、この格好は、嫌だっ」 ベッドに仰向けとなった千尋の上に、和彦はうつ伏せで体を重ねる。それだけではなく、千尋の眼前に、秘裂がよく見えるように両足を開いた姿勢で。そして和彦の眼前には、身を起こした千尋の欲望がある。 さすがにあまりにはしたない格好に、理性が欲望に勝ろうとしたが、おもしろい遊びを発見した子供のように、千尋の好奇心は旺盛だった。「すげー、いやらしいよ、先生」 ぐいっと腰を引き寄せられ、和彦のものは熱い感触に包み込まれる。顔を伏せて呻き声を洩らし、腰を震わせていた。「……バカ、千尋っ……」 せめてもの抵抗で、絞り出すような声でこう言った和彦だが、千尋の上から逃れることはできなかった。千尋の指が、内奥の入り口をまさぐり始めていたからだ。「あっ、あっ、あうっ――」 指に続いて触れたのは、柔らかく濡れた感触だった。熱くなったものは指の輪で緩く扱かれ、腰が震える。千尋は明らかに、いつもとは違う攻めに戸惑う和彦の反応を楽しんでいた。「もしかして、こういうの初めて?」「当たり、前だ。誰がこんな、恥知らずなことを、す、る……」「だったら俺が、先生にいやらしいこと教えてあげてるってことか」 内奥に指が押し込

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    「違う。……ぼくの誕生日まで、落ち着かない日が続きそうだと思ったんだ」「へえ、なんか心当たりあるの?」「心当たりというか――」 澤村と会う件で秦に協力を求めたことを、賢吾には報告してある。秦と中嶋と連れ立って動いて、賢吾の耳に入らないはずがない。だったら最初から報告しておいたほうが、精神的に楽だと考えたのだ。そもそもあの男に隠し事など、したくはなかった。バレたときが怖すぎる。 自分が生まれた日を迎えるだけだというのに、神経を遣い、根回しし、煩わしいと思う一方で、気遣われる自分の立場がくすぐったくもある。そういう状況に慣れない和彦の心理は、『落ち着かない』と表現するしかなかった。 和彦の気持ちにすり寄るように、千尋が甘えた声で尋ねてくる。「先生、部屋に寄っていい?」 わずかに体温が上がるのを感じながら和彦は、千尋の頬を優しく撫でてやった。**** グラスに注いだオレンジジュースを飲んでいると、まるで人懐こい犬のように背後から千尋がじゃれついてきた。腰に回された剥き出しの腕に何げなく触れると、まだ濡れている。和彦は、手の甲をパシッと叩いて注意した。「千尋、しっかり拭かないと、風邪を引くぞ。それと、何か着ろ」「えー、どうせすぐに脱ぐじゃん」 明け透けなことを言う千尋を、肩越しに振り返って軽く睨みつける。シャワーを浴びたばかりの千尋は、かろうじて腰にタオルを巻いているが、ほぼ裸だ。滑らかな肌を水滴が伝い落ち、しなやかな筋肉に覆われた体を、さらに魅力的に見せている。 きれいな千尋の体の中で、左腕だけは様子が違う。かつては生々しく見えたタトゥーが、部分的に色が薄くなり、代わりに赤みの強いケロイドが目立っている。ようやく痛みが取れて包帯を外したそうだが、それも数日のことだ。来週には、またレーザーを当てるらしい。 和彦は体の向きを変えると、傷に触れないように気をつけながら、タトゥーを指先でなぞる。千尋は小さく笑い声を洩らして、和彦の耳に唇を押し当ててきた。「先生のほうが、痛そうな顔してる」「&hellip

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    **** きょろきょろと売り場を見回していた千尋に、突然手首を掴まれた和彦は、何事かと思って目を丸くした。 日曜日だけあって、広い売り場を持つスポーツ用品店の店内は、さまざまな年齢層の客たちで混雑している。だからといって、手を掴んでいないと迷子になるというほどではない。「おい、千尋――」 ふざけているのかと思い、きつい声を発しかけた和彦だが、手首を掴んだままズンズンと先を歩く千尋を見ていると、なんとなく、元気のいい犬を散歩させているような錯覚を覚え、結局、抗議の声を上げるタイミングを失ってしまった。 ジョギング用のスニーカーを見たいという千尋につき合い、さまざまなメーカーのスニーカーを一緒に見ている最中だったので、気になる商品を見つけたのだろうと、そう和彦は考えた。 だが、千尋が足を止めたコーナーは、少々意外だった。「……テニスシューズ?」 天井から吊るされたパネルを読み、和彦は首を傾げる。思わず、陳列されたテニスシューズと千尋を交互に見てしまった。「なんで、テニスシューズなんだ……」「先生、テニスはやらないの?」「高校生のとき、少しやったぐらいだな。お前は?」「実は、中学のテニス部で部長経験あり」 へえ、と声を洩らした和彦は、千尋と並んで陳列棚を眺める。ここで会話が一旦途切れたが、どうしてテニスなのか、その理由がさっぱりわからない。「で、テニスがどうしたんだ」「じいちゃんの家のテニスコートでさ、今度テニスやろうよ。道具一式揃えて」「……はあ?」 突拍子もない千尋の言葉に、和彦は露骨に身構える。そんな和彦の反応を見て、千尋は意味ありげな流し目を寄越してきた。その目つきが、食えない父親にそっくりだ。「せっかく先生も出入りできるようになったんだしさ、楽しもうよ。ジムで体力作りはできても、テニスはできないだろ?」「そういう問題じゃなくて、なんで、総和会の本部――」 千尋に詰め寄ろうとしたが、すぐ側

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