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第38話(28)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-07-08 08:00:36

「……どうかな。いっそのこと、完全に関わりを絶ったほうが――」

『それはダメだっ』

 思いがけず里見の激しい反応に、和彦は目を丸くする。

「里見さん……」

『家族ともう二度と会わないつもりか? おれとも……』

 そもそも里見とは、高校を卒業してから十三年ほど顔を合わせるどころか、連絡も取り合っていなかった。長嶺の男たちと知り合うことがなければ、そのままの状態が続いていたはずだ。里見は佐伯家の厄介な問題に巻き込まれることなく、和彦とのことも、単なる思い出になっていただろう。

 だからこそ、里見の物言いが気になった。しかし指摘してはいけないように思え、和彦はあえて違うことを口にする。

「――今、〈おれ〉って言った」

 数秒ほど、戸惑ったように沈黙した里見が、ああ、と吐息のような声を洩らした。

『仕事でもそれ以外でも、ずっと〈わたし〉で通しているから、馴染んだつもりだったけど……。君が相
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    「しかし愚かなりに、最低限のものは守っているようだ」 ベンチに座り直した俊哉が、ゆっくりと辺りを見回す。さきほどから目の前の道を人が行き交っているが、俊哉の目が捉えようとしているのは、総和会の男たちだろう。楽しそうな口調でふいにこんなことを語り始めた。「昔……、お前が生まれる前だが、長嶺守光に会った。あのときの奴は、どこかの御曹司のように見えた。行儀がよくて控えめで、話し方も品があった。会話を交わしてすぐにわかったが、当時のわたしの同期たちよりよほど頭がいいと感じた。見た目とは裏腹に、抜け目ないが、少なくともわたしの前では、極道の地金は出さなかった。わたしの抱えたトラブル処理のために、よく手を回してくれたよ。どうしてそこまでするのかと聞いたら、当時組長だった父親に命令されたと言っていた。わたしが頭を垂れて感謝したくなるほど、徹底して尽くせとな。だから遠慮なく尽くさせた」 俊哉の口から語られる守光の話に、不思議な感覚を味わう。和彦が知っているのは、総和会会長としての守光だ。しかし俊哉の記憶にある守光は、まだ長嶺組の組長ですらない。おそらく今の和彦と変わらないか、わずかに上ぐらいの年齢だったはずだ。「どうしてぼくに、そんな話を――……」「わたしはあの男を恐れていないということだ。今ではずいぶん大物になっているが、人間の本質はそう変わらない。わたしは昔、長嶺守光の本質を見抜いた。もっともそれは、向こうも同じだろうがな」「……ごめん、父さん。何を言いたいのか、よくわからない。ぼくにとっては長嶺会長は、ただ畏怖の対象だ。大事にはしてもらっているけど、怖い。逆らえない」 ふっ、と俊哉は短く声を洩らして笑った。「どれほどの化け物だと思っているのか知らないが、あの男も弱みがないわけじゃない。――まだ三十そこそこの、わたしと変わらない若造のくせに、妙に家に固執している男だった。長嶺という家を。いや、血というべきか」「ああ、それは……」 わかる、と心の中で和彦は答える。「いざとなれば、こちらも手段を選ばない。総和会全体を相手にするのは無理だ

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  • 血と束縛と   第38話(26)

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  • 血と束縛と   第11話(20)

     外から男二人のにぎやかな話し声が聞こえてくる状況で、求められるまま、やむをえず舌を絡め合い、唾液を交わす。引き出された舌を痛いほど吸われると、たまらず和彦は鷹津の肩にすがりついていた。 ますます鷹津の腕の力が強くなり、和彦の中で奇妙な変化が起こっていた。鷹津のことがどうしようもなく嫌いで、嫌悪しているのに、そんな男にねじ伏せられるように口づけを交わしていると、高揚感に襲われ、体の奥深くから強引に官能を引き出される。 官能に形を借りた、サソリの毒かもしれないと、ふとそんな考えが脳裏を過る。鷹津の毒を注入され、体も心も侵されていくのだ。 思わず身じろごう

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  • 血と束縛と   第8話(33)

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  • 血と束縛と   第11話(22)

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  • 血と束縛と   第4話(27)

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    last updateLast Updated : 2026-03-19
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