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第230話

Auteur: 猫ちゃん
凪はその答えに大満足だった。

忍から回ってきた大型案件は、今のミツキホールディングスでは受け切れないため、無理に奪ったところで意味がない。

それよりも、母の資産をひとつずつ、自分の手へ取り戻す方が大事だ。

凪は空の手のひらを、そっと指先でつつく。

空の険しかった目元が、ようやく少しだけ和らぐ。

「じゃあ、そうしよう」

そう言うと、空は挨拶すらせず、凪を連れて堂々と二宮家を後にした。

車に乗り込むと、空が傷の状態を尋ねるよりも先に、凪が自ら距離を詰めて、少しだけ微笑んだ。

「今日は助けてくれてありがとうございました」

空が来なくても自分の身は守れただろうが、母の資産まで取り戻すことはできなかった。

凪の笑顔が少しずつ近づいてくる。空はしばらく黙ったまま見つめていたが、やがて少し気まずそうに視線を逸らすと、何事もなかったように、凪のシートベルトを締めた。

「まだ怪我人なんだから、あちこち動き回るな。帰ったらゆっくり休め」

「分かりました」

凪は素直にシートベルトを締められながら、心の中では、少し予想外のことだと思っていた。空さんって、人にシートベルトまでしてあげる
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