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28.ニセモノの正体は

last update publish date: 2026-06-26 11:44:00

スープに毒を盛られた日を境に使用人が私とは口を聞かなくなった。

私の担当をしていた仲の良かった使用人たちは全てレイラ様の担当となり、新しく私の担当になった使用人たちは何故か私に冷たかった。

だが、冷たいだけで仕事を放棄しているわけではなかった。

私が使っているレイラ様の部屋の掃除ももちろんきちんとしてくれるし、私の身支度等も手伝ってくれる。

しかし、その全てが必要最低限であり、仲の良かった使用人たちのように私への気遣いからくるその先のことは何一つなかった。

何故、こんなにも急に冷たくなってしまったのか。

やはり6年前のように嫌がらせが始まってしまったのか。

そんなことを思いながらも、アルトワ伯爵邸内の階段を1人で登っていると、それは突然聞こえてきた。

「ホンモノのレイラ様はあのお方なのに!どうしてニセモノがレイラ様として生きているの!?」

廊下から聞こえてきた若そうなメイドの悔しそうな声に、
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    劇場内の準備が整い、ついに入場が始まる。ウィリアム様が私たちに用意してくれた特別席は個室のようになっており、たくさんの鑑賞席が並ぶ一般席の上から、舞台を観られるようになっていた。そしてこの落ち着いた空間にはきちんと4つの席があった。「さあ、どうぞ、レイラ」ウィリアム様に手を引かれ、まずこの部屋に入ったのは私だった。部屋に入った私は何となく目に留まった左端の席まで移動し、腰を下ろす。するとそのままウィリアム様は私の右隣に腰を下ろそうとした。…したのだが。「ちょっと待ってください」それをセオドアが冷たい声で制止した。「姉さんの隣には僕が座ります。ですからウィリアム様はそこには座らないでください」こちらにゆっくりと近づいてきたセオドアが、そこから動くようにとウィリアム様を促す。だが、そんなセオドアの言うことなどもちろんすんなり聞くウィリアム様ではなかった。「レイラの隣に座るのは婚約者である俺だよ」「違います。家族である僕です」にこやかだが、どこか目の笑っていないウィリアム様と、冷たい表情でウィリアム様を睨むセオドアの間にギスギスとした空気が流れる。何と嫌な空間なのだろうか。「…じゃあホンモノの家族の隣に座ればいいんじゃないかな?」お互いに一歩も引かない空気が続く中、ウィリアム様はセオドアにそうにこやかに提案した。「もちろんそうするつもりですよ。姉さんとアイリス姉さんの間に僕が座るんです」「ふーん。でも2人ともなんて少々わがままなんじゃない?1人くらいは俺に譲るべきだよ?」「どちらも譲れません」「強情だね」何を

  • 逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。   18.必要のない存在

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  • 逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。   17.今の3人は

    ウィリアム様の「送るよ」とは、公爵家の馬車で伯爵家まで、という意味だった。初めはアルトワ伯爵家の馬車までだと思い、共にそこへと向かっていた私たち。だが、いざ目的地まで辿り着くと、ウィリアム様は何と私をシャロン公爵家の馬車の方へと乗せようとしてきたのだ。そこからまたあの2人の口論だ。「姉さんと一緒に帰るのは僕なんですけど。アルトワの馬車で」「送ると言ったよね?それはシャロンの馬車でアルトワ邸までって意味だよ?」「結構です。アルトワの馬車がありますので」「そう。じゃあセオドアだけその馬車で帰りなよ。俺はレイラとシャロンの馬車で帰るから」お互いに譲らない口論は何分も続き、最終的に私と

  • 逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。   15.いつもの嫌がらせ

    今日の帰りは、ウィリアム様が公爵家の馬車で、アルトワ伯爵邸まで送ってくれると言った。なので、私はウィリアム様のことを待ち合わせ場所である、学院内の噴水の前でずっと待っていた。…そうもうずっとだ。季節は夏休みが終わったばかりの夏。正直、夏の日差しの中で、長時間日陰のない場所に立ち続けることは辛い。額からはじわじわと汗が出ており、暑さが私を襲う。…遅すぎる。チラリと噴水から見える大きな時計に視線を向けると、時刻は16時半を指していた。ここでの待ち合わせ時間は16時だ。もちろん約束の5分前にはここへ来ていたので、もう30分以上もここでウィリアム様を待っていたことになる。またいつ

  • 逃げたいニセモノ令嬢と逃したくない義弟と婚約者。   14.完璧なご令嬢

    sideリリーアルトワ伯爵家のレイラ様となり、6年の月日が流れ、私ももう18歳になった。私、リリーは変わらずレイラ様として生きており、15歳からはレイラ様が通うはずだった王立学院にも、レイラ様として通っている。そして私は今、そんな学院内の多目的広場に貼り出されている、あるものをたくさんの生徒たちに紛れて、じっと見つめていた。その正体とは、夏休み明けの実力テストの順位である。完璧なご令嬢、レイラ・アルトワ様は、文字通りこの国一完璧なご令嬢と言われ、見た目の美しさ以外にも、教養まであるお方だった。そんなレイラ様が約6年前、事故に遭い、数年もの間、社交界から姿を消した…と思われた。あ

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