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第8話:刻まれし予言と、招かれざる客

ผู้เขียน: fuu
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-07 12:00:27

「ということで、仮面の人は無事、記憶のないまま保護しました!」

「無事じゃないな、それ。」

エリシアの報告にカイラムが即ツッコミを入れる。

「でも、鏡も見つかったし、記憶も一部取り戻したし、戦果としては十分でしょ?」

「うむ。我が娘ながら誇らしいわ!」

「我が妻ながら、突貫工事で国家守ってて怖いわ!」

両親の茶番に空気が緩むが、会議室に貼り出された“鏡の写し”は、誰の目にも不穏だった。

――映っていた“もう一人のユスティア”、そしてその肩に手を置く“顔のない者”。

「この人物が“記憶改変の黒幕”とみて、間違いないでしょう。」

ネフィラの言葉に、ユスティアが頷く。

「そして……この鏡の裏に、もうひとつ刻まれていた“文字”がある。」

全員が息をのむ。

ユスティアはゆっくりと読み上げた。

「『真なる王、記憶の扉を開く時――世界は選択を迫られる』。」

「……選択、ね」

ミィルが呟く。

「つまりこれは、“世界改変の可能性”が現実のものになるってことか。」

「王って……現王家のこと?」

「いや、あるいは“かつて王たり得た誰か”かもな。」

カイラムの言葉に、全員がユスティアを一瞥した。

「おい、見るな。俺がそうだって決まったわけじゃ――。」

「うちの将軍兼探検隊副隊長兼国家アイドル枠がそんな過去を持っていたなんて!」

「アイドル枠外してくれええええ!」

◆◆◆

その夜。

「……で、なんで私が鏡の監視役に?」

「うち、国家予算ないからね。人件費削減よ!」

「ひどい理由だった!」

エリシアとユスティアは鏡の間で当直中。

「……正直、不安なの。あの予言、“世界は選択を迫られる”って……。」

「選択肢が見えない選択ほど、怖いものはないからな。」

ふいに、鏡がわずかに揺れる。

「!?」

浮かび上がる新たな映像。

それは、火に包まれる王都――そして、見覚えのない“少女”の後ろ姿だった。

「……誰?」

エリシアが呟く。

「これは、未来の断片……?」

だがその映像が消えた直後、空気が変わる。

ピリ、と魔力の干渉が走った。

そして。

「失礼。夜分に申し訳ない。突然だが、迎えに来たよ、ユスティア殿。」

仮面も隠しもない、整った礼装の“男”が、突然そこに現れた。

「誰?」

「私は“予言の管理者”――君を“本来の場所”へ戻すために来た。」

「なにそれ、誘拐予告?」

「違うよ、これは“選ばれた者”の帰還だ。」

男が一歩踏み出した瞬間――鏡が暴走した。

激しい光と共に、再び“未来の記憶”が放出される。

そこには、王都の玉座で微笑む“あの少女”と、彼女の傍らで膝をつくユスティアの姿が。

「……な、なんだこれ……?」

「その未来こそが、“正しい歴史”だよ。」

エリシアがユスティアを庇うように立ちはだかる。

「誰が決めたの、それ。」

男は静かに言った。

「――“運命”さ」

緊張が走る中、再び鏡の中に“もうひとつの記憶”が映る。それは、まだ誰にも知られていない、“王家に隠された最初の嘘”。

そして――ユスティアの失われた“もうひとつの名前”が浮かび上がる。

「“運命”……だと?」

ユスティアが、ぐっと拳を握る。

鏡が淡く光を放ち続けるなか、仮面も外さず現れた男は、なおも静かに語る。

「そう。君は“正しい世界”の王になるべく設計された存在だ。記憶を消されたのも、“時が満ちる”までの準備期間にすぎない。」

「記憶を消された“理由”が、王になる準備だって?」

エリシアが前に出る。

「それ、世界が選んだんじゃなくて、あなた達が“都合よく選んだ”だけじゃないの?」

男は笑った。

「反論しようがないな。それが“人の世界”というものだ。」

その時、鏡の輝きがさらに強まり、再び映像が浮かび上がる。

王家の大広間。

玉座の下で、王冠を掲げる儀式。

その中心には、若かりし日の今の王……ではなく、別の男が立っていた。

――そして、その傍らにいた、ふたりの幼子。

一人はユスティア。そしてもう一人は……

「……僕……じゃないか、これ……。」

「正確には、“君であるはずだった存在”だ。」

男の声は変わらず穏やかだったが、その内容は重すぎた。

「君には双子の兄弟がいた。だが、王家は一人しか“記録”できない。だから、ひとりは“記憶ごと”消され、遺産と共に隠された。」

「記憶を……消すことで、存在そのものをなかったことにしたっていうの?」

ネフィラが低く呟いた。

「その通り。ユスティア、本来の名は“ユリウス=レクレイン”――かつて王位継承者として選ばれていた、真の第一王子だ。」

沈黙が落ちた。

「じゃあ……今の王家は……。」

「記憶を塗り替え、王位を奪った“偽りの王家”だ。彼らは“鏡”を破壊しようとしている。君が真実に辿り着く前に。」

ユスティアは頭を抱えた。

「じゃあ俺は……この国で暮らして、笑って、友達もできたのに……それも“偽物”ってことになるのか……?」

そのとき、エリシアがぽんっと背中を叩いた。

「ばっかじゃないの?“選ばれた王”とか“記憶の支配者”とか、そんな肩書きが、今のあんたより大事なわけないでしょ。」

「……っ!」

「うちの国の将軍で、2番目の部下で、甘いものが苦手なクセにパンだけはうまそうに食べる子。それが、あんたでしょ?」

ユスティアは、ぎゅっと目を閉じた。

「……ありがとう。」

そして、鏡に向かって宣言する。

「俺は“ユリウス”かもしれない。でも、それよりも――“ユスティア”として、ここで生きていく!」

「……いい返事だ。」

男が微かに笑い、すっと背を向ける。

「ならば我々は“正史”から退く。だがいずれ、君の名は“王の系譜”として呼ばれるだろう。」

「呼ばれたって、断るけどね。」

「フフ……ならばせいぜい、貴女たちの“王国ごっこ”がどこまで本物になるか、見せてもらおうか」

そして、男は魔力の波紋と共に消えた。

◆◆◆

「……王子様だったのか……。」

その晩、パンを頬張るユスティアを見ながら、エリシアは小さく呟いた。

「でも変わらないわよ。あんたがあんたでいる限り、うちの宰相だし、仲間だし――。」

「……ハーレム要員?」

「それは……まぁ、否定はしない!」

「くっそおおおおおお!!」

パンを喉に詰まらせたユスティアをさすりながら、エリシアは小さく笑った。

(きっと、選択はまだこれからだ。それでも私たちは――)

「この国で、未来を作っていく!」

——〈次話〉“料理人見習いと、禁断のレシピ”

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