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エピソード4:鏡の使者

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-10-05 08:00:30

 

朝焼けがミラリオスの空を紫とオレンジに染め、悠真とリアナは広間の外で簡素な朝食を摂っていた。昨夜の試練の余韻がまだ体に残り、悠真は鏡の破片を手に持つたびに軽い震えを感じていた。制御できるようになった力は頼もしいが、その裏に潜む危険も実感していた。リアナは火を消し、剣を磨きながら周囲を警戒している。彼女の真剣な横顔を見ながら、悠真は昨夜の言葉を思い出した。「頼りにしてもいいと思った」――その一言が、なぜか心に引っかかっていた。

 

「リアナ、昨日はありがとうな。本当に助かったよ。」 

悠真は少し照れながら言った。 

 

「礼を言う必要はない。任務の一部だ。だが、お前の成長は認めよう。」 

リアナは剣を鞘に収め、悠真に目を向けた。 

 

「成長…か。まだまだだけどな。けど、この力、もっと上手く使いたい。」 

悠真は鏡の破片を軽く振ると、小さな光の球が浮かんだ。 

 

「その意欲は良い。だが、力の使いすぎは禁物だ。魂の門の試練はまだ続くかもしれない。」 

リアナは真剣な表情で警告した。 

 

その時、遠くから微かな風の音が聞こえ、木々の間から光の粒が漂ってきた。悠真とリアナは同時に身構えた。 

 

「何だ?また敵か?」 

悠真は鏡を握り、警戒した。 

 

「待て…。これは敵ではない。鏡の使者だ。」 

リアナが目を細め、光の粒が集まるのをじっと見つめた。 

 

光が形を成し、人間のような姿が現れた。白いローブをまとい、顔は鏡のような表面で覆われている。声は中性的で、どこか神聖な響きを持っていた。 

 

「佐藤悠真。鏡の鍵たる者よ。我は魂の門の使者。試練の続きを告げる。」 

使者の声が広間に響いた。 

 

「試練の続き…?まだあるのかよ!」 

悠真は驚き、鏡を構えた。 

 

「第一の試練で欲望を直視した。次は責任を負え。ミラリオスの均衡を保つため、お前の力を試す。」 

使者は手を上げ、広間の地面に魔法陣が浮かび上がった。 

 

「責任…?何をしろってんだ?」 

悠真は戸惑いながらリアナを見た。 

 

「使者の試練は拒めない。従うしかない。だが、私が守る。」 

リアナは剣を抜き、悠真の横に並んだ。 

 

魔法陣が光り、悠真の体が再び浮かんだ。視界が歪み、今度は森の中に出現した。目の前には、村が炎に包まれている。叫び声が響き、逃げ惑う人々がいた。 

 

「何!?火事!?」 

悠真は慌てて周囲を見回した。 

 

すると、使者の声が頭に響いた。 

 

「この村は鏡の均衡を失い、崩壊の危機にある。汝の力で救え。だが、代償を払う覚悟が必要だ。」 

 

「代償…?何だよ、それ!」 

悠真は叫んだが、使者の声は淡々と続いた。 

 

「村を救えば、お前の力が一時的に弱まる。選択せよ。」 

 

「弱まる…。けど、放っておけない!」 

悠真は歯を食いしばり、鏡の破片を握った。 

 

村人たちが助けを求め、子供の泣き声が耳に届く。悠真は決意し、鏡に意識を集中した。 

 

「村を救う!火を消せ!」 

彼は叫び、鏡から光が放たれた。光が広がり、炎を吸い込み、村を包む煙を晴らした。 

 

村人が驚きと喜びの声を上げ、火が鎮火した。だが、悠真の体に異変が起きた。力が抜け、膝が震え、鏡の光が弱まった。 

 

「うっ…!これが代償か…!」 

悠真は地面に膝をつき、息を切らした。 

 

使者の声が再び響いた。 

 

「責任を果たした。だが、力の弱さはさらなる試練を呼ぶ。覚悟せよ。」 

 

光が収まり、悠真は再びリアナの隣に戻った。彼女が慌てて駆け寄った。 

 

「佐藤!無事か!?」 

リアナが肩を支え、悠真を立たせた。 

 

「なんとか…。村を救ったけど、力が弱まった。」 

悠真は苦笑いを浮かべた。 

 

「試練か…。使者の試練は厳しい。だが、お前の選択は正しかった。」 

リアナは安堵の表情を見せた。 

 

「正しかった…?けど、この弱さ、どうするんだ?」 

悠真は鏡を手に持つが、光がほとんど出ない。 

 

「時間と共に回復する。だが、貴族派や反逆派がこの弱さを見逃さないだろう。急ごう。」 

リアナは悠真を促し、森の奥へ進んだ。 

 

二人は村を後にし、道中を進む。だが、遠くから馬蹄の音が聞こえ、敵の接近を感じた。 

 

「また来やがった…。今じゃ戦えないぞ。」 

悠真は焦りを隠せなかった。 

 

「私が守る。お前は力を回復させろ。隠れろ!」 

リアナは剣を構え、悠真を木の陰に隠した。 

 

貴族派の騎士が現れ、リアナと対峙した。戦いが始まり、悠真は隠れながら力を取り戻そうとした。 

貴族派の騎士たちは5人。リーダーは重厚な鎧に身を包み、槍を構えてリアナに迫った。 

 

「偽の調停者を差し出せ、鏡の守護騎士!さもなくばここで葬る!」 

リーダーが威圧的な声で叫んだ。 

 

「貴族派の汚れた手はお前に渡さない!」 

リアナは剣を構え、鋭く反撃した。 

 

戦いが始まり、リアナの剣が騎士の槍を弾き、素早い動きで一人の足元を払った。だが、数が多く、徐々に押され始めた。 

 

「くそっ…!力、戻ってこい!」 

悠真は鏡を握り、集中を試みた。だが、代償の影響で光はほとんど出ない。 

 

リアナが一人の騎士を倒し、血が地面に滴った。 

 

「佐藤!早く!」 

彼女の声が切羽詰まり、悠真を急かした。 

 

「分かった!もう一回…!」 

悠真は歯を食いしばり、鏡に残った力を絞り出した。 

 

薄い光が広がり、騎士たちの動きを一瞬鈍らせた。リアナがその隙に反撃し、もう一人の騎士を倒した。 

 

「よくやった!まだ持つか?」 

リアナが叫び、悠真に目を向けた。 

 

「限界近いけど…!もう少し!」 

悠真は汗を流し、光を維持した。 

 

騎士たちが混乱し、リーダーが怒声を上げた。 

 

「卑怯な!総攻撃だ!」 

彼が命令を出し、残りの騎士が一斉にリアナに襲いかかった。 

 

「危ない!」 

悠真が叫ぶと、リアナが盾のように剣を構え、攻撃を防いだ。だが、彼女の体がよろめき、膝をついた。 

 

「リアナ!?」 

悠真は隠れ場所から飛び出し、鏡を振り回した。 

 

「やめろ、佐藤!お前が…!」 

リアナが制止する間もなく、鏡から最後の光が放たれた。 

 

光が騎士たちを包み、彼らの動きが完全に止まった。だが、その代償に悠真の体が崩れ落ち、意識が薄れた。 

 

「佐藤!しっかりしろ!」 

リアナが駆け寄り、悠真を抱きかかえた。 

 

光が収まり、騎士たちは石のように固まり、動かなくなった。 

 

「何…?俺の力で…?」 

悠真は朦朧としながら呟いた。 

 

「一時的な封印だ。だが、お前の体が限界を超えた。休め。」 

リアナは悠真を木の陰に運び、水を飲ませた。 

 

「すまん…。また頼っちまった。」 

悠真は弱々しく笑った。 

 

「頼られるのは悪くない。だが、次はお前が立ち上がる番だ。」 

リアナは優しく言い、悠真の額に手を当てた。 

 

二人は一時休憩し、力を回復する時間を取った。遠くの空では、鏡の破片が再び輝き始め、試練の続きを予感させた。

 

 

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