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第28話

last update Huling Na-update: 2025-07-17 11:00:24

「──もう!血の魅了は対策される!宝石の魅了は制限つき!瞳の魅了はマストレットがぼんくらで役に立たない!これじゃ公爵家に入った意味がないのよ!私は悪魔まで召喚したのに!」

ダリアはベリタ相手に部屋で喚いていた。

ベリタもダリアにはうんざりした様子だわ。私達は白い世界で楽しく見下ろしていた。

──ベリタも、穢れた血で召喚なんてしたのが悪いと言いそうだけれど……。

「己の弱点や欠陥を口にはしたくないだろうね。悪魔にとって人間は力なき存在でないと、矜恃が許さない」

──なるほどね……あら、ベリタが何か考えたようだわ。

「仕方ないな。──新月の夜に、相手が肌身離さず身に着けているものを入手出来れば……遅効性の魅了の力を仕込めるんだが、……お前に入手する事が可能とは思えないんだよな」

「何よその言い草!私だってガネーシャの好きにばかりさせないんだから!──そうよ、あのしみったれた水晶のブローチ、あの女はいつも着けているじゃない、あれを盗むわよ!」

「……まあ、健闘を祈っておこう」

──あらあら、ベリタも言うわね。ダリアとの契約なんて、もう切りたいのかしら。

「まあ、あれだけダリアが愚かなら、どんな下級悪魔だとしても相手にしたくないよ」

──契約とは勝手に切れない厄介なものなのね。それにしても、ダリアが私のブローチを狙うことにしたなんて。

対策を考えないといけないようね。私は思案してベリテに答え合わせを持ちかけた。

──ロケットペンダントみたいに、小さな袋が付いたネックレスに入れれば、常に隙を見せずに済むと思うのだけど。

「入浴のときも?」

──ええ、袋は濡れるけれど。それなら二つ、いえ複数用意しておけばいいのよ。

ベリテからの採点は悪くなかったらしい。返ってきた笑顔から伝わってきたわ。

そうして、私は常に身に着けていることにしたの。

ダリアったら、おかしいものよ。盗めないとなると、正攻法で話しかけてくるようになった。

「お姉様、そのブ
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