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第175話

Author: 風待 栞
ベッドの上で大人しく器を口に運ぶ水琴を見つめながら、灼也の脳裏には、またしても雨の中で倒れていた彼女の姿がフラッシュバックしていた。

土砂降りの雨の中、泥にまみれて気を失っていた彼女を見つけた瞬間、まるで自分の心臓が抉り取られたかのような恐ろしい喪失感に襲われたのだ。

灼也は黙って窓辺に寄り、病院の裏庭に広がる緑の芝生を見下ろした。そこには、今にも咲きそうな見事な花の蕾がいくつか顔を出していた。

ふと、一人の入院患者がこそこそと芝生に入り込み、その花の茎を無残にへし折るのが見えた。

ドクンッ——!その瞬間、灼也の心臓が激しく跳ね上がり、顔からすっと血の気が引いた。

『血の海に倒れ、全身を赤く染めた女性……そして、その傍らで狂ったように泣き叫び、やがて糸が切れたように意識を失う少女——』

凄惨な過去の記憶が濁流のように脳内を駆け巡る。立っていられなくなり、灼也は咄嗟に片手で壁を支え、もう片方の手で強く自分のこめかみを押さえた。

「……どうかしたんですか?」水琴の心配そうな声にハッと我に返る。

灼也は強張った顔でどうにか笑みを作り、ゆっくりと眉間の皺を伸ばした。「いや、何で
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