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第299話

Auteur: 風待 栞
今日、灼也は琉里と長い時間をかけて話し合った。

俺の真意を聞けば、彼女も引き下がるだろうと高を括っていたのだ。しかし、琉里の執着心は彼の想像をはるかに超えていた。彼女は一歩も引かず、決して手を離そうとはしなかったのだ。

琉里との平行線の話し合いを終えた後、灼也は自分の滞在先には戻らなかった。

何かに取り憑かれたように、気づけば水琴のホテルの前に立っていた。

エントランスの前で冷たい雨に打たれながら、彼の中でいくつもの迷いが晴れていくのを感じていた。

――俺は、高遠灼也だ。

南鳥市の経済を牛耳り、一歩足を踏み鳴らせば街の権力図が揺らぐとまで言われた男だ。

それが、たかが音羽琉里一人の思惑に縛られ、妥協し続けるというのか?

前回、酔い潰れてこの部屋で眠ってしまって以来、水琴は明らかに俺を拒絶し、まともに向き合おうとしなくなっていた。

このままでは、本当に彼女を永遠に失ってしまう。

「灼也。……もう帰って。私たちは別れたって、そう言ったはずよ」

水琴は表情を凍りつかせ、冷ややかに言い放った。

もう、これ以上は無理だった。

期待しては裏切られ、何度も何度もズタズタに引
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