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11.ミッドナイトブルー - 2

last update Huling Na-update: 2025-09-04 11:00:00

 特に恵也の軽い感じが、霧香には軽率そうに見えるのである。

「こいつと ! ここで暮らす事になるんだよ !!? ばっかじゃないの !? 

 この馬鹿と !? ヤダよ !! 」

「害が無いならいいじゃないか。

 じゃあ、蓮に相談を仰ぐのはどうだ ? 」

「ダメダメダメダメ〜 ! 

 油断するからだ〜とか、絶対怒られるもん ! 」

「そうか ? ヴァンパイアの契約者は『主人と恋人になってはならない』ってのがあったろ ? 」

「…… ??? それ、なにか関係ある ? 」

 シャドウは霧香の事が好きそうな蓮なら賛同してくれるのでは、と考えた。

 恵也を契約者にさせてしまえば、恋敵が減るから好都合なのでは ? と言う安易な案である。

「普通にしててもケイは恋愛対象じゃないよ ? 」

 霧香が断言しているのを見て、シャドウはここまで尾けて来た恵也を、なんだか気の毒な人のオスだと思えた。

 なんともない女を家まで尾行するとは思えないからだ。

「……コイツは……哀れすぎる……。

 まぁなんだ。記憶を消すにしても、一応蓮に報告はすべきだ。人間の脳内に作用する魔法だしな。

 魅了魔術はただのフェロモンだが、記憶消しは更に上の魔法だ」

「うー……」

 これは押せばあと少しと確信する。

「……まぁ、俺の責任だからな。俺が責任を持って、自分で報告する。スマホ貸してくれ」

「え !? いいの ? 」

「ああ。ガードマン失格とも言えるミスだ。俺が直接、責任のアレを……アレするから」

「そっか。分かった。ほい」

「話が済んだら飯にしよう。そいつを起こしておけ」

 霧香は椅子に巻かれた恵也をうんざりと見つめた。

「……なんか、

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