修は、侑子の「名誉」も「身体」も、都合よく利用した。 すべては、自分の痛みを紛らわせるための幻覚を得るため。侑子は、彼にとって一時的な麻酔のような存在だった。 ......でも、麻酔が切れれば、また現実が襲ってくる。 どれだけ甘美でも、幻は幻。現実には勝てない。 「修......私は気にしない。私の心も、体も、全部あんたのもの。どうしたっていいの。お願いだから、こんな風に突き放さないで。代わりでもなんでもいい、私は永遠にあんたの影でも構わない」 「......ごめん、侑子。俺はもう......幻の中で生きていたくない。いつかは目を覚まさなきゃいけないんだ」 「じゃあ......目を覚まさなければいいのよ。修、私はずっとあんたのそばにいるよ。あんたは永遠に私を失わない。幻覚の中でずっと一緒にいようよ......ね、修、来てよ......」 侑子の弱った顔を見て、修の心にはほんのわずかな哀れみが芽生えた。 彼はゆっくりとベッドの縁に腰を下ろした。 その瞬間、侑子は彼に飛びつき、ぎゅっと抱きついた。そして、酔ったように頬へキスを落とし、彼のパジャマをはだけさせる。 「修......愛してるの!」 彼女は修をベッドに押し倒し、全てを投げ出して抱きついてくる。 「大好き......私は修のもの。ずっと、ずっと修のものなの。修を絶対に傷つけたりしない。私は......修だけの女」 彼女の中には、若子への強烈な嫉妬が渦巻いていた。 若子みたいに男を取っ替え引っ替えなんてしない。あんな女とは違う。 「私は......あんな汚れた女じゃない!」 侑子は服を脱ぎ捨てた。 「修、どうしたって構わない。私は......修のものなの!」 涙に濡れたその瞳は、まっすぐ修を見つめていた。 彼女は修の胸元に飛び込むように倒れ込んだ。 修は無意識に彼女の腰を抱いた。 だが次の瞬間、修は侑子を押し返すように体勢を反転させ、彼女をベッドに横たえた。 そして、手を彼女の腹に添え―そっとキスを落とした。 侑子は微笑みを浮かべながら、両手で修の頭を包み込んだ。指先は彼の濃い黒髪に深く入り込む。 修の視線は、目の前に広がる真っ白な肌に釘付けになった―けれど、脳裏に浮かぶのは昨夜のことだった。 もう少しで、若子に触
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