林華もまた、どうして自分の手元にそれが渡ったのか、分からなかった。この瞬間、喬念を見つめる彼の目には、期待と、そして後ろめたさが混じっていた。だが、まさか喬念が彼に少し微笑みかけるのを見た。胸の奥が、何かに強く衝かれたようだった。喬念のこの微笑みが、一体何を意味するのか分からなかった。だが、それでも彼は酒壺を掲げ、中に残っていた最後の一口を飲み干した。今日の喬念は、兄上である彼のためにも、餞別に来てくれたのだと、そう思うことにした。吉時になり、軍は城を出た。喬念は凝霜と共に人混みの中へ下がり、楚知耀が号令を下し、後ろの兵士たちを率いてゆっくりと立ち去るのを見ていた。言いようのない興奮と悲しみが喬念の胸に込み上げてきた。目の前のこの兵士たちが国を守るために行くのだと知っていたからだ。そして、この者たちの中に、永遠にその地に留まり、二度と戻ってこられない者がいることも知っていた。彼女はただ城門の前に立ち、その巨大な隊列が次第に遠ざかり、ほとんど見えなくなるまで見つめていた。ようやく向き直り、平王府へ戻ろうとした。だが、向き直った途端、章衡を見かけた。出征する兵士たちとは違い、章衡は今日、長めの衣を一枚だけ着ていた。喬念が彼に気づいたのを見て、微かに唇の端を上げて微笑み、それからゆっくりと近づいてきた。喬念は章衡に礼をした。「章将軍に拝謁いたします」章衡の笑顔は、彼女のよそよそしい態度によっていくらか不自然になったが、それでもわざと声を柔らかくして言った。「われも平陽王を見送りに参った」彼は喬念に、自分が彼女を尾行したのではないと伝えたかったのだ。喬念はわずかに頷き、章衡の顔色を窺い、ようやく言った。「章将軍は、ご回復が順調なご様子ですわね」顔色はまだいくらか弱々しく見えたが、すでに寝床から起き上がって歩けるようになっているのだから、明らかに大きな問題はないのだろう。章衡は頷いた。「兄上から聞いた。そちが神医に薬を求め、この命を救ってくれたと」喬念は目を伏せ、返事をしなかった。ただ章衡の声が続けた。「念々、われはそちに命を一つ借りた。今後、何を以て返せと望むなら、何でも叶えよう」喬念はこの章衡の言葉によって少しも喜ばなかった。逆に、彼女はいくらか嫌がっている。「章将軍、斯様
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