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5. 「あの日の僕ら」③

Penulis: 佐行 院
last update Tanggal publikasi: 2025-08-24 08:34:45

-③ 偶然なのか必然なのか-

 守と橘にとって松龍は昔からの馴染の店であった、店主は2人の顔を見るなりいつもの言い慣れた台詞を言った。

店主「おう守達じゃないか、いつものかい?」

守「いや、今日からはこれを使うんだ・・・。」

店主「お前ら大学に入ったんか、入れたんか!?」

 自慢げに手に入れたばかりの学生証を提示した守、それを見た店主は守の高校時代の成績を知っていたので驚きを隠せなかった。いつもは貝塚学園高校に学生証が無かったのでオムライス一択なのだが、今日からは堂々と「特別メニュー」を選べる。

 松龍での学生に人気のランチである「特別メニュー」とはご飯と御御御付が付いた上に好きなおかずを2種類選んで食べる事が出来る物だった、値段はワンコイン500円(学生応援価格というやつだ)。大抵は主要なおかずとサラダを選ぶ学生が多かったのだが、初めての守はロースカツとメンチカツを選んだ。

店主「お前マジかよ、うちのは両方でかいぜ。」

守「ガキん時からの夢だから良いじゃんかよ。」

 ほぼ同刻、こっちに引っ越して来たばかりで昼食がまだだった好美はどうしても手に入れた学生証を使って松龍に行ってみたかっ
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    -190 優先すべきは店舗か個人か- 自分の屋台と同じチェーン系列である1店舗のオーナーである好美のまさかの行動に慌てて『念話』を飛ばした、別の店舗に食材を探しに行けば良いじゃ無いかと俺は個人的に思ったのだがこのまま国王を待たせたままだと「暴徒の鱗」の信用を落としかねないし何より好美の為にならない。しかし今の好美には仕事を忘れて折角の卒業旅行を楽しんで欲しい、一先ず理由及び動機を聞いてみる事にしてみた。渚(念話)「好美ちゃん、どういう事なんだい。バルフでこんなに食材を買い占めてどうするつもりなんだい?」 いち経営者として、そして先輩として好美のこの行動は許す訳にはいかない。しかし好美サイドにもそれなりの理由があって・・・、欲しかった。好美(念話)「え・・・、何の事ですかぁ~?」渚(念話)「あんたね、いくら「ビル下店」を好きな様にしていい権利を有しているからってこれはあんまりじゃないのかい?店の皆がびっくりしちゃうじゃないか。」 確かに好美は「ビル下店」のオーナーであるがその様な権利をいつの間に持っていたのだろうか、ただ先日の「鮪1本事件」と「大量の白菜・胡瓜事件」という前科があるので流石にイャンダやデルアもこの様な事態は懲り懲りだと思うはずだ。可能であれば買い占めた大量の食材を突然店内に出現させて驚愕させるという事態は未然に防いでおきたい。渚(念話)「何だい・・・、もう出来上がっちゃってんじゃ無いか。なのに酒を中心に買い占めているだなんて改めて聞くけどどういう了見なんだい?」好美(念話)「いや・・・、店を出た後に適当に何処かで呑もうかと思いまして。」渚(念話)「まさか・・・、あんた個人的な吞みの為に買い占めたのかい?ここは一応業務用食材の店なんだから私が来るって思わなかったのかい?」 こんなに買い占めてどうやって運ぶつもりなんだろうか、どう考えてもカペンには乗りそうにもない量なのだが今はそれ所では無い。冷静な表情をしながら好美の隣で2人の『念話』を聞いていた守が割って入って来た。好美(念話)「ネフェテルサ王国のゲオルさんの店で買って『転送』か『アイテムボックス』を使えば・・・。」守(念話)「すみません渚さん、こいつ最近酔ったら馬鹿買い癖が出てしまう様になっちゃうんですよ。この前も八百屋さんから「暴徒の鱗」の名前でピーマンを馬鹿みたいに買い占

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    -189 必要なのは人同士の繋がり- ただただ呆然と立ち尽くすロラーシュを横目に、「バルフ酒類卸」にて一般客が利用する表側の小売り用の店舗とは打って変わった様に薄暗い倉庫の部分へと渚はゆっくりと進んで行った。ロラーシュ「お姉さん・・・、ここ私達は入って良い場所なんですか?」渚「大丈夫だって、私は以前からここで屋台の食材を仕入れているんだ。それに表向きの店舗はつい最近出来た場所で元々はこんな倉庫だけでの営業だったんだ。」 と言うよりこの世界では渚の屋台以外にもあらゆる外食産業の店を経営する会社達が必ずと言って良いほどこのお店との付き合いをすると言っても過言では無い、その為に先程赤鬼が言った「倉庫」には酒は勿論だがあらゆる食材が取り揃えられていた。 ロラーシュがきょろきょろと辺りを見廻す中、2人に向かって男性の声がした。男性「「倉庫」とは何ですか、可能な限り多くの食材等を取り揃えるのに予算をつぎ込むために敢えて施設をこの様にしているんです。」 突然の声に驚きを隠せない2人は焦りながら声の方へと振り向いた、まだ焦りが残っていたのか2人の息は少し荒くなっていた。渚「誰なんだい、全く気配を感じなかったよ。」男性「すみません、ごく偶に癖が出ちゃうんです。狭い店の中で『瞬間移動』を使うなって友人にいつも怒られているんですが。」渚「まぁ私も人の事を言えた立場じゃないから構わないさね、歩くのが面倒な時ってつい『瞬間移動』に頼っちゃうんだよね。」男性「あらま、気が合いますね。ネクロマンサーか何かで?」渚「ただの転生者だよ、ネクロマンサーって何なのかを全く知らないって言ったら嘘になるけどね。」 「転生者」という言葉を聞いた男性は薄暗い中で渚の赤い髪と相も変わらず男勝りな姿を見た後、必死に何かを思い出そうとしていた。男性「あの・・・、恐れ入りますがもしかしたら赤江 渚さんではないですか?」渚「あらま、私も有名になったもんだねぇ。」 因みに普段渚には別の店員が対応しているので2人には全くもって面識が無かった、ただどうして男性は渚を知っていたんだろうか。渚「ただどうして私の事を知っているんだい?生前から雑誌とかの取材なんて受けた覚えなんて無いんだけどね。」 確かに生前の渚は表向きではただのOLだったから思い当たる節など無い、それにこっちの世界でも八百屋の仕

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    -186 普段優しいコッカトリスは怒ると怖い- 好美にこれ以上飲まれてたまるかと言わんばかりに焦った様子で手に持っていたコーラを一気に口にした守は国王の前だという事にも関わらず大きなゲップをしてしましった、第三者として様子を見ているだけの俺からすれば原因は好美にあるのか守にあるのかが分からない。しかし仲睦まじい恋人達の様子を見ていたデカルトは好美を乗せて地上に降り立った後にただただ笑うだけだったが顔が引きつっていない事を願うばかりであった。守「王様、大変失礼致しました。申し訳ありません。」 頭を深々と下げて謝る守、それに対して腰の低さに定評がある国王は全てを笑って許してくれた様だ。デカルト「ハハハ・・・、楽しそうで何よりじゃないですか。私も学生時代に妻と付き合っていた頃の事を思い出してしまいましたよ。」 デカルト達の学生時代が何年前の話なのかは全くもって想像がつきそうにも無かったが今はハッキリ言ってどうでも良い話だ、と言うよりあんたらここには遊びに来た訳じゃ無いだろう?守「分かってるよ、好美がいけないんだぞ。ずっと王様の背に乗って遊んでいたから。」デカルト「まぁまぁ守さん、良いじゃないですか。誰だって何もかもを忘れて無邪気に楽しみたい時だってあるはずです、今回は私の顔に免じて許してあげて頂けませんか?」守「王様がそう仰るなら・・・。」 致し方なく好美を許した守、でも心中はずっともやもやしているままだった。デカルト「一先ず入りましょう、このままだと大臣の弟さんに迷惑をかけるだけですから。」 店に何の用事も無い訳では無いがこのままだとただの迷惑駐車だ、早く店に入った方が賢明だと皆が思うだろう。好美「分かったよ・・・、早くこの問題を解決して旅行に戻りたいもん。」 ビジネストークをしている時が多いので2人がまだ卒業旅行の最中だった事をついつい忘れてしまっていた俺、作者からすれば恋人達にはもっとほのぼのとした異世界ライフを楽しんで欲しいのだがそうは問屋が卸さないらしい。 そんな中、店の中からずっと様子を伺っていたランバルは店にも入らずにずっと遊んでいる者達にしびれを切らして外に出て来た。ランバル「あの・・・、うちの店の前でずっと何をされているんですか?」デカルト「すみません、本当はすぐにお店の中に入ろうと思っていたのですがついつい楽しくなって

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