「私もあの件を詳しく調べたの。偶然なんだけど、加津也は確かにあの五人の子供の中にいた。でも......京弥さんはいなかった」紗雪が悔しそうに語るのを見て、京弥の胸も痛んだ。「それで、その後は?」「記憶を辿って気づいたの。京弥さんはあの五人の誰でもなくて、校長ですらあなたの存在を知らなかった。だから、私が当時どれだけ探しても見つからなかったのも当然よ。だって、存在自体が記録に残ってなかったんだから」京弥は思わず言葉を失った。当時、彼はただ偶然その学校に立ち寄っただけ。投資先のひとつだったあの学校のホールが、彼にとって居心地のいい場所だったから。誰に報告する必要もなく、校長ですら彼の存在を知らなかったのだ。結果、校長は外から見える五人の生徒しか把握しておらず、当然彼は数に入っていなかった。ただ、そのとき休んでいた場所が、たまたま紗雪のいた位置のすぐ近くだった。そのせいで、崩落の際に二人が同じ場所に閉じ込められたのだ。だが、あの事故そのものは彼にも説明できなかった。天災だと言うには、崩れたのはあのホールだけ。けれど人為的だと言っても、あんなに頑丈な建物を一気に崩落させるなんて、普通の人間には到底不可能。しかも崩れる直前、確かに異様な現象があった。それは誰の目にもはっきりと見えていたもので、嘘をつく理由などなかった。結局、家族は株価への影響を恐れ、この件を公にしなかった。当時の彼は家の唯一の後継者。もし露見すれば、家全体が大打撃を受けるのは明らかだった。だから記録上、彼はその学校に「存在しなかった」ことになり、紗雪が調べても出てくるはずがなかったのだ。偶然が重なった結果だった。京弥は鼻をかきながら、苦笑いを浮かべた。「あれは本当に偶然だったんだ。俺はあの場に居合わせただけ。救い出されたときには意識を失っていて、すぐに家に連れ戻された」「......そうだったのね」紗雪はそれ以上は深く考えなかった。長時間酸素が足りない状況から急に外に出れば、昏倒するのも当然。それを経験しているからこそ、彼女は納得できた。紗雪はふっと笑みを浮かべる。「でも、結果的にこうしてまた出会えたんだもの。やっぱり『縁』って不思議よね」京弥は彼女の手をしっかり握りしめる。「あ
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