電話は切られ、蓮司は拳を握りしめ、再び深呼吸をした。外には出られない。計画は失敗した。やはり爺さんのほうが一枚上手だった。こちらの下手な芝居など、完全に見抜かれている。あれほどもっともらしい理由を並べても断られたのだ。まさか、「柚木聡を殴りに行くためだ」などと言えるはずもない。そんなことを知られれば、爺さんの監視はますます厳しくなるだろう。ベッドの端に腰を下ろした蓮司は、魂が抜けたような顔で、再び聡とのトーク画面を開き、今日送られてきた二枚の写真を食い入るように見つめた。手抜きなどではなく、心のこもった豪華な料理だ。透子が手間暇をかけて、丹精込めて準備したことがひと目で分かる。だが、そうであればあるほど、蓮司の胸は締め付けられ、同時に仕事のできないあの二人組への憎しみが募った。あっさりと見つかるばかりか、おかげで自分は十日間も留置場に入れられる羽目になった。本当に使えないやつらだ。金の無駄だった。もし発見がもう少し遅れていれば、今頃あと三日も我慢する必要はなく、すぐにでも聡のもとへ殴り込みに行けたというのに。そう考えているうちに、蓮司は眉をひそめた。この間まで尾行は順調で、透子にも気づかれていなかった。バッグを買ってやったときでさえ、彼女は何も察していなかったのに、なぜ急にバレたんだ?……いや、違う。透子は知らなかった。だが、聡は知っていたんだ!なぜ聡が知っている?あのとき、あいつは一緒にいなかったはずだ。まさか、透子が聡に事情を話し、あいつがブティックの購入情報を調べたのか?なぜそんなことまで透子は聡に話すんだ。二人の関係は、すでにそこまで親密になっているというのか?そこまで考えが及ぶと、蓮司は再び歯を食いしばり、背筋を強張らせた。狂おしいほどの嫉妬が、まるで野火のように胸の奥で燃え広がっていく。聡はブティックを調べたのなら、誰が透子にバッグを買ったのか当然知っている。だから月曜日に、わざとらしく自分に「告げ口はしなかった」と言ってきたのだ。だが、実際はどうだ?クソッ、あの野郎、とっくの昔に透子に話していたに違いない!でなければ、透子が会社にあのバッグを持ってこないはずがない。あの言葉は自分をからかっていただけで、契約を結んだ後には、わざとくだらないカフスを見せびらかして自分を挑発して
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