まるで姫君が眠るような純白の天蓋付きのベッドの布団の中に入り上半身起きていた翼。 その少し離れた前方で、彼に対して横を向いて立っている存在に視線をやった。 それは、クロが今この部屋にいる理久と翼が二人きりになるのを阻止して置いていった猫系獣人騎士。 さっきクロが変装した警備兵より地位が高く、体の上下にだけは金属製の鎧を纏っていたが、頭には兜は今は無い。 「そこの獣人の人、ちょっと理久と二人だけで話したいから、部屋出てくれる?」 訳のわからない異世界に来てメンタルをやられて理久に甘えている演技をしているはずの翼が、いつもの彼らしい尊大な物言いをした。 言われた猫系の獣人は、頭の獣耳両方をピクピク一度させたが、表情を変える事なく淡々と返した。 腰には、立派な剣を携帯している。 「それは出来ません。私は陛下より、理久様と翼様に何事もないように……と仰せつかっております故……」 「俺と、理久に何事もないように?……俺が理久に何かすると思ってんの?あんたの、"犬"の王様は?」 翼の言葉の端々に棘を感じる。 猫系獣人は、黙ってジロリと翼を見詰めた。 翼は、今は演技を一旦やめ、その視線を受けても平然としていた。 そして、今自分がいる羽毛のフカフカの布団のベッドの周り、 ところどころの細工にふんだんに本物の純金を使っているだろう、ソファやテーブルや壁。 花々の精巧な彫刻をされた大理石で作られた大きな暖炉。 だだ広い部屋の床一面に敷き詰められる上質で豪華な織物絨毯を見て、クロを心の中でなじる。 (何が!……異世界の獣人王だよ。金は持ってんだろうが……ペットの分際で飼い主に手出しやがったただのクソ犬だろうが……) ベッドの横の椅子に座る理久の方は、翼の心が、異世界に来た事からの弱気からイライラに変わり安定してないと判断した。 だからこれ以上、ゴタゴタしたくなかった。 「翼……別に、今でもこうやって普通に話しできるから……」 小さく息を吐くと、慌てて、しかし、やんわり咎めた。 翼は、気弱になる芝居をもう本当にやめて無理矢理にでも獣人を追い出したい気分だった。 でも今は、理久の気持ちを一刻も早く自分側に引き込む方が、クロから引き離すのが先決だった。 「仕方ないなぁ……」 翼は、わざと大きめの
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