未知の感覚に襲われた梨花は、もう彼に逆らうのをやめた。「お、お兄ちゃん」 キスでその声は甘く、素直な響きを帯びていた。竜也の梨花の腰に回された手は、その瞬間、筋がくっきりと浮かび上がり、血管さえも張り詰めて、力がみなぎるのが見て取れた。 「痛っ!」 自分が折れたのに、竜也が逆に力を強めると梨花は思わなかった。 先ほどの猛烈な動きは、まるで自分を彼の体に溶け込ませようとしているかのようだった。 竜也は瞬時に理性を呼び戻し、手の力を緩めると、彼女の唇になだめるようなキスを落とした。その息は深く、重かった。「すまん。大丈夫か?」しかし、一歩下がった彼が、キスによって睫毛まで濡れてしまった梨花の姿を目にした途端、再び理性を失いそうになった。 「シャワー!」 彼はその一言だけを投げ捨てると、ゲスト用のバスルームへと向かった。 梨花は、彼が大股で去っていくのを見て、呆然とした。 シャワーを浴びてから、ベッドでやるつもりなのだろうか。湯船の水が溢れそうになっている。彼女は洗面台から飛び降りてそれを止め、少し躊躇ったが、竜也が戻ってくる気配がないのを見て、バスルームのドアを閉めた。 彼女の洗面用具は、すべて元の場所に置かれたままだ。 ただ、お風呂から上がって、彼女はタオル掛けに真っ白なバスタオルが一枚しかないことに気づいた。 竜也は潔癖症だ。彼の物を勝手に使う勇気はない。 湯船から出て、彼女はドアを少し開けて助けを求めた。「あのう、新しいタオルある?ないなら、家から取ってきてもらえる?」 「俺のを使え」 竜也はちょうど通りかかり、その声は淡々としていたが、かすかにかすれていた。そして、寝巻きをドアの隙間から彼女の手に渡した。「これを着ろ」「あ、うん」 梨花はドアを閉めた。最初は何も思わなかったが、水を拭き取る際、ふと嗅ぎ慣れた沈香の匂いがして、奇妙な感覚が瞬く間に心に広がった。 私は…… お兄ちゃんのタオルを使っている。 彼女は手の中のタオルに視線を落とし、必死に心を落ち着かせようとしたが、この事実を無視することはできない。 このタオルの持ち主は、彼女がかつて九年間も「お兄ちゃん」と呼んでいた人なのだ。 梨花が必死に無視しようとしていた禁断の感覚が、それでも彼女を
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