「っ! あっ、ま、待って……っ暮科!」 河原の声が上擦り、肌が一段と淡く染まる。 それが怒っているからなのか、戸惑いからなのか、あるいは単に羞恥心からくるのもなのか、俺には正直判断できない。 もしかしたらその全部が原因かもしれないが、全力で俺を拒絶しようと言う気があるようには見えないからよけいにわからなくなる。 河原の片手は、俺の肩を掴んでいる。だがその割りに力が入っていないように思えるのは、飲み過ぎた酒のせいなのか。 他方の手はいまだに俺が掴んだままで、自由にはさせていない。「えっ……え、嘘、ちょっ……くれし、暮科っ」 震える声に煽られる。俺はぺろりと自分の唇を舐めた。 意外だったのは、直に触れた河原のそれが、思いの外兆していたことだ。 もしも身体に上手く力が入らないくらい酒が回っているのなら、このまま触れていても反応はないかもしれない。思っていたが、それは杞憂だったらしい。 ……このまま、……。 ちらりと河原の顔を見上げる。 その目元は熱を帯びたように紅潮し、揺蕩うみたいに揺れている。酔いのせいか、生理的な涙に滲むその双眸が物言いたげに俺を見ていた。 俺はかち合った視線を振り切って、次には腰へと目を遣った。その刹那、一気にスウェットと下着を下方へと引き下ろし――。「……!」 河原は息を呑み、俺の肩を掴んでいた手で目元を覆った。 他方からも手を放せば、両手を交差してしっかりと顔を隠す。 腹部を隠そうとしないのは、それを俺が許さないと気付いているからだろうか。「も、やめ……」 吐息と共に、声にならない声が落ちてくる。 やめろと言いつつ、やはり身体では強く拒絶しない。 それが何故だかわからないまま、わかろうとしないまま、俺は再び平板に言葉を重ねた。「じゃあ、うんって言えよ」 「……そ、れはっ……」 「関わらないって言えよ」 「だ……、だって、大切な人なんだ……っ俺にとって、将人、さんは……!」 …
Terakhir Diperbarui : 2025-09-17 Baca selengkapnya