――翌朝レースのカーテンから太陽の光が差し込み、明るく室内を照らしている。ソファの上には眠っている沙月の姿。「う~ん……」小さく身じろぎすると沙月は重たいまぶたをゆっくりと開けた。視界に映ったのは、見慣れたリビングの天井。沙月は自分がソファの上に寝ていたことに気づく。身体にはブランケットが掛けられていた。「え……? 一体どうして……」昨夜の記憶を思い出そうとするも、断片的にしか思い出せない。「えぇと……確か昨夜はカフェでお酒を飲んでいたら霧島さんに偶然出会って、二人でお酒を一緒に飲んで……霧島さんが先に帰ったんだわ……その後私もマンションへ帰って、そこで……」マンション前で不機嫌そうに立つ司の顔が脳裏に浮かぶ。「そうだった……司が来て、一緒に部屋に入って……その後は……」そこから先は霞がかかったように曖昧だった。ブランケットを掛けてくれたのが司だと気づいた瞬間、頭痛が走って思わず顔をしかめる。「いった……」壁の時計を見ると午前六時。まだ出勤には間に合う。沙月はソファから降りると薬箱を探しにキッチンへ向かった。キッチンに置かれた頭痛薬を飲むと、コンロの上に置かれた鍋に気づく。「何かしら……?」蓋を開けると、香草の香りがふわりと漂った。「これは……薬膳スープ? 節子さんがよく作っていた味だわ……まさか、ここにきて作ってくれたの?」このスープを司が作ったとは夢にも思わない。沙月は節子に感謝しながら鍋を温め、カップに注いで口にした。二日酔いの身体に染み渡る優しい味に、少しだけ元気になれた気がする。「……美味しい、ありがとう。節子さん」その後――シャワーを浴び、通勤服に着替えた沙月は鏡の前に立ってみた。「やだ……顔色が悪いわ」映った自分の顔色は冴えない。そこでいつもより濃い目にメークをすると、沙月は重い足取りでマンションを後にした。****――8時半「おはようございます」出勤した沙月が声を掛けても、報道部にいる局員からは何の返事もない。代わりに冷たい視線が一瞬向けられ、すぐに楽しげな会話が始まる。「昨夜の飲み会、楽しかったわね」「うん、澪さんも来てくれたし」その言葉に沙月の肩が小さく跳ねた。(澪さん……やっぱり行ったのね。妊娠しているのに……お酒を飲んだのかしら?)そこへ澪の明るい声が響き渡った。「おは
Terakhir Diperbarui : 2025-12-02 Baca selengkapnya