「本当に、すまない……。申し訳、ございません……」 恥辱で、清水瞬が震えている。 握った拳も震えていて、私はその姿を見ただけで、何だかもう良くなってしまった。 きっと、麗奈は私に謝罪はしないだろう。 私がしてもいない事をああやって言い訳にして、逃げ出すのだから今後も期待はできない。 視線を感じて、私がそちらの方向を向くと、視線の送り主は滝川さんだった。 まるで「どうする?」と問うような滝川さんの視線に、私は諦めたように苦笑いを浮かべた。 「──もう、いいです」 私の一言に、清水瞬がぱっと下げていた頭を上げる。 私の顔を見て、幾分か表情が和らいだように見えた。 「こ、加納さん……」 「もう、謝罪は結構。だけど、金輪際私はあなたたちと関わりたくありません。清水さんへの気持ちも綺麗に消えているので安心してください。柳さんの勘違いも、正して下されば結構です」 私の強い口調と言葉に、清水瞬は一瞬面食らったように目を見開いた。 その瞳に薄らと悲しさのようなものが見えた気がしたけれど、きっと見間違いだろう。 すぐに清水瞬は「承知した」と告げて、最後にもう一度深々と頭を下げてからリビングから出て行った。 静まり返ったリビングに、滝川さんの足音が響く。 「加納さん、良かったのか?」 本当に、許して良かったの?と滝川さんは聞きたいのだろう。 私は滝川さんの言葉に頷いた。 「ええ、いいんです。麗奈は……なんと言うか……あの性格なので、多分謝罪は絶対しないと思うんです」 「まあ、な……酷いものだった」 「けど、清水瞬が頭を下げて謝罪してくれました。それだけで、いいかなって思って」 滝川さんに迷惑をかけた彼が、誠心誠意謝罪をした。 それだけで、胸がすっとしたし、それ以上を求める事はしたくない。 「ふふ、清水さんの頭を下げる姿を見れただけで十分です。凄くプライドが傷付いたと思うので」 「加納さんがそう言うなら、いいんだ」 「はい。私はもう大丈夫です、きっとこれからは彼らと関わり合う事はなくなりますし!」 それより、もっと大事な事がある。 「これで、滝川さんのお仕事のお手伝いに集中できます!」 ぐっと拳を握って張り切って告げる私に、滝川さんは楽しそうに笑った。 「ははっ!確
最終更新日 : 2025-11-06 続きを読む