潤は言葉では彼女を慰めていたが、内心は焦燥感で満ちていた。医師によれば、風邪は一般的に五日から一週間で治るが、薬はあくまで症状を緩和する補助的なものに過ぎないという。ましてや明里は今妊娠中で、使用できる薬には限りがある。つまり、彼女が苦しむのを、ただ見ているしかないのだ。あと二日の辛抱だ。そうすれば楽になるはずだ。だが潤は、この苦しみが全て自分の身に降りかかればいいのにと願わずにいられなかった。明里のあんな憔悴した姿を見ると、本当に胸をえぐられるような痛みが走るのだ。明里が眠っている間に、潤は一度自宅へ戻り、シャワーを浴びて着替えようとした。バスルームから出ると、そこに陽菜がいた。今日バスローブを羽織っていてよかったと思いつつ、それでも潤の眉間に皺が寄る。「勝手に俺の部屋に入るな」陽菜が慌てた様子で言う。「ノックしたの。でも返事がなくて、何かあったのかと思って……」潤が顎で部屋の外を示す。「話なら外で聞く」陽菜の目元が赤く滲む。「潤さん……」潤はかつて、陽菜を疑ったことなど一度もなかった。彼にとって陽菜は、純真で心優しい、隣家の妹のような存在だった。以前は、なぜ明里が陽菜とうまく付き合えないのかと、明里の方に非があるのではないかとすら考えていた。今思えば、あの時の自分の思考は、なんて浅はかだったんだ。自分はずっと陽菜の側に立っていた。明里を叱責し、疑った時、彼女の心はどれほど深く傷ついていただろう。今さら気づいても遅いのだが。たとえば今、陽菜が当然のように自分の寝室に出入りしているこの事実。もし明里がこれを見たら、どう思うだろう。潤は口元を硬く引き結び、冷ややかな怒りが込み上げてくる。前回、直接問い質すことはしなかったが、明里の言葉を信じることに決めたのだ。陽菜は自分の前では、いつも従順な妹を演じていた。それが全て演技で、明里の前では威張り散らしていたのだとすれば、潤の中にあった陽菜への憐憫も慈しみも、全て嘘のように消え失せた。祖父の遺言があったからこそ、彼女を妹として扱ってきた。これだけの年月を共に過ごし、確かに陽菜を家族だと思うようになっていたことは認める。自分には兄弟姉妹がいない。隼人は認めたくない弟だ。真奈美の血を引く隼人に、情が湧くはずもない。だ
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