そう言って、残っていたワインを一息に飲み干す。空になったグラスをテーブルにコトリと置き、水琴は踵を返した。「それじゃあ、私、もう休むわね」「ああ、おやすみ」邸宅の奥へと消えていく水琴の後ろ姿を見送りながら、重人は再び椅子に腰を下ろした。そして、自分のスマートフォンを取り出し、その暗い画面をひどく複雑な眼差しで見つめ続けた。……自室に戻り、みんなから贈られたプレゼントを丁寧に片付けてからバスルームへ向かった。シャワーを浴びてベッドに腰を下ろした頃には、時計の針はすでに夜の十一時半を回っていた。手の中には、灼也から贈られたブレスレットが握られている。華奢で美しいチェーンを見つめたまま、水琴はただ呆然としていた。どうして、来てくれなかったの?一体、どんな事情があったというのだろう。あと三十分もすれば、今日という日は終わってしまう。たくさんの人から温かい祝福をもらった。なのに――たった一人、彼からの言葉だけがない。静寂を破るように、ふいにスマートフォンの通知音が鳴った。ビクッと肩を揺らし、慌てて画面を覗き込む。メッセージアプリからの新着通知。画像付きのメッセージだった。タップして開いた瞬間、水琴の心臓がドクンと嫌な音を立てた。画面に映し出されていたのは、無防備な顔でぐっすりと眠りこける灼也の寝顔。そして、それに添えられたテキストの送り主は――琉里だった。【水琴さん、こんばんは。琉里よ。まずは、お誕生日おめでとう!実は灼也ね、あなたのパーティーにすごく行きたがってたんだけど、私の方でちょっと用ができちゃって……引き留めちゃったの。だから、彼のことは絶対に責めないであげてね?】――また、彼女だ。またしても、彼女のせい。衝動的にスマホを壁に叩きつけそうになるのを、水琴は必死に堪えた。画面の中で静かに眠る彼を見つめていると、鋭い刃物で心臓をズタズタに抉られているような痛みが走る。自分がどんな顔をしているのか、どう反応すればいいのかすら分からなかった。震える指で画面を暗転させ、ギュッと目を閉じる。耐えきれず、一粒の涙が頬を伝い落ちた。彼が来なかったと知った時、確かに落ち込んだけれど、ここまで深く傷つくつもりなんてなかった。それなのに、琉里からのあの写真を見た瞬間
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