บททั้งหมดของ お嬢様、あなたの『推し巫女(ヒーロー)』、私なんですが: บทที่ 111 - บทที่ 117

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7-12【透明な価値】

 メリナ・バラッツィの独白 この先私は、ずっと後悔することになるだろう。 自分の弱さと向き合わなかったこと。 ヴェスティリアを上回ったという驕りが、自らの行いを省みることを忘れさせたこと。 スィニョーラや先生の為と言いながら、本当は自分のために優しい言葉を求めていたこと。 本当は与えてくれた価値なんてものを理解できていなくて、大切な人たちからの言葉でしかそれを感じることができなかった。 スィニョーラを喪い、周囲の人々との関係が変化し、私は自身の価値を確認する術を失っていた。 自己の確立を他人の言葉に委ねて、それに満足して来た怠慢の代償だ。 その不安が私の目を濁らせて、分かりやすい力に縋ってしまった。 何も考えずに縋ってしまったから、私は取り返しのつかない過ちを犯してしまった……。 そんな私に、今更何の価値があるというのだろう。 そんな私に、今更優しい言葉を求める権利なんてあるのだろうか。 そんな私に……私に…………。………………………………「ごめん……ごめんね、メリナ」「えっ?」 メリナの手を引き、自らの頬に添えるエスティラ。 悲痛な表情を浮かべる彼女が告げた言葉は、憔悴したメリナの瞳に光を与える。 彼女はこれまで、エスティラから謝罪の言葉を受け取ったことなどなかった。 幼少の頃の我儘な彼女が謝ることはありえないし、成長してからは謝る必要のある機会など皆無だった。 そんなエスティラが、取り返しのつかない過ちを繰り返してきたメリナに対し告げたその言葉。 むしろ謝罪すべきは自分だと思っていたメリナにとって、その謝罪に対し意図を見出すことができなかった。 そんな困惑する彼女を前に、エスティラは言葉を続ける。「考えてみれば当然よね。私と同じように、あなたもアメリアをあんなに愛していたんだから」 愛情。 自身を信じることを忘れていたメリナにとって、アメリアに抱いていたのは果たしてそのような感情だったのか。 依存していたことを直視してしまった今、それすら自信を持って言い切ることができなかった。 しかし、エスティラの言葉には確信を抱かせる強さがあった。 それこそ生まれる前からアメリアの世話を受けてきた彼女にとって、自分と同じと断ずるその言葉はとても重いものなのだから。「だから、気付くべきだった。私と同じよう
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7-13【蜂蜜のように甘くてもいい】

 守ると決めたエスティラの言葉が、メリナの心を揺さぶった。 それは潰えかけていた彼女の心を再び立ち上がらせる、確かな力となる。 かつて涙だった氷の粒は、メリナの足元で西日を受け輝く。「……誇りです」 どん底から這い上がり、信頼という名の誇りを手に入れたメリナ。 しかし、それを一番に伝えたかった恩人は、もうこの世にはいない。 だから、メリナは空に向かってつぶやく。「私の、誇りです。お嬢様」 エスティラに伝えるように。そして自分に言い聞かせるように。 誇りという言葉を口にすることで、メリナは初めて自らの積み上げてきたものと向き合うことが出来た。 それはきっと、名無しの少女が辿り着くにはあまりにも長い道のりなのだろう。 だが、ほんのわずかな幸運と出会い。そして多くの人々に支えられ、彼女は確固たる心の支えに出会った。 そっと目を閉じ、冬の空気を大きく吸い込む。 空に向かって吐き出すと同時に、もう一度藍色に染まりつつある空をその目に刻む。 もう、頬を涙が伝うことはなかった。「お嬢様」 エスティラに向けて顔を下ろすメリナ。 そこには、後悔に苛まれ力を失った少女の面影はなかった。 正しき覚悟を胸に秘め、自らの罪と向き合う決意を固めた戦士の姿がそこにあった。「ここは危険かもしれません。だからすぐに港へと戻ってください」「メリナ……そう。あなたは?」 決意を固めたメリナに安堵したのか、こわばっていたエスティラの表情が和らぐ。 そんな彼女に向け、メリナは後ずさりながらどこか照れくさそうな笑みを浮かべた。「ヴェスティリアに託された約束があるので」 言葉を続けながら、左手に馬の意匠の鍵を生み出し、力を開放する。 先程よりも開いた二人の間に球状の水塊が姿を現し、それは一瞬にして馬の姿へとその形を変貌させる。 メリナはその場から馬の背に飛び乗ると、彼女の触れたところがまるで鞍のような形となり凍り付く。 水馬はまるで出発の合図を待つかのように地面を蹴る。「ありがとうございました、お嬢様」 馬の上から見下ろすエスティラに向け、メリナは深く頭を下げる。 そして彼女の言葉を待つ間も持たず、左手で水の手綱を握り、足で水馬の腹を軽く蹴る。 合図を受けた水馬は大きく地面を蹴り上げ、商店の屋根へと一気に飛び乗り走り出す。 まるで迷いを振り切った
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8-1【恐怖を癒す希望の光】

 時は遡り、地下都市の崩落が起きた後のこと。 その瞬間、アデーレは自らの死を覚悟した。 崩れた天井の破片が頭上から容赦なく降り注ぎ、最悪のタイミングで変身が途切れてしまった。 再びヴェスティリアになろうとしても、要の錠前は手の届かないところにあった。 万事休す。そんな言葉がアデーレの頭を過る。 この世界に似たような言葉はないのだが、日本語に当てはめるならこれしかないだろう。 だが、自らの死が目前に迫っているというのに頭は冷静そのものだった。 それどころか、目の前に立つ戦士が自分のよく知る人物であると分かり、奇妙な安堵感すら覚えてしまっていた。『私、メリナさんのことを信じていますから』 激しい崩落の中、願いが伝われと強く願うアデーレ。 例え殺し合いともいえる戦いを繰り広げた相手でも、アデーレはメリナに全てを託す覚悟を決めた。 互いに正体を明かしていなかったとはいえ、彼女は間違いなくかけがえのない友人だ 決して揺るがないメリナへの信頼と、認めざるを得ないベルシビュラの力。 もはや助かる術のない自分に代わり、魔獣から人々を守ってくれると信じる。 仮面の下の素顔に思いを馳せ、アデーレは痛みをこらえ笑顔を向ける。 一際巨大な岩が落ち、二人の間を隔てる。 目の前が闇に閉ざされ、崩落の音だけがうるさく響く。(これで終わり、か) いよいよ自らの死を悟り、アデーレは静かに目を閉じる。 そこには変わらぬ暗闇が広がるばかりで、まるで一切の望みが断たれた彼女の状況を示しているようだ。 生き埋めからの窒息か。それとも大岩による圧死か。 せめて楽な死に方を願いつつ、アデーレの意識は闇の中へと飲まれていった……。          ◇ 暗闇と静寂。 崩落に巻き込まれたアデーレは、夢とも現実ともつかない空間に投げ出されていた。 地面に叩きつけられたことによる全身の痛みで、体の方は指一本動かすことが出来ない。 いや、おかしい。 痛みは生物にとっての生きている証だ。 あのような状況に巻き込まれて、なぜ今もなお痛みを感じていられるのか。 第一、今もなお肉体の感覚がはっきりしている理由が分からない。(運よく、岩の隙間に入ってるのかな) 痛みに耐え、目を閉じたまま思考を研ぎ澄ませる。 今もなお五体の感覚があるということは、岩に押しつぶされたよ
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8-2【傷を癒す暇もなく】

 穏やかな口調で話すアデーレの言葉に、アンロックンは静かに耳を傾ける。 そして彼女が粗方話し終えたというところで、小さくうなずくような仕草を見せた。「なるほど。キーザか……」 錠前の依り代が揺れ動き、乾いた音が鳴り響く。「結晶の魔女って話だったけど、イェキュブ以外にも魔女がいるってことなんだね」「うん。そもそも魔女は信仰している上位存在と契約を結んだ人間が、ああいう姿になったものだから」「つまりその上位存在っていうのはたくさんいると」 「その通り」と、うなずくような動作を見せるアンロックン。 その金属音にアデーレは耳を傾けながら、頭の中を整理するためゆっくりと深呼吸をする。「キーザは結晶の上位生命体を信仰する魔女のことで、銀のムトゥラっていう長の意識を共有しているんだ」「意識の共有……ああ、集合意識ってやつか」 前世で見たフィクション作品でも馴染みのある設定のためか、アデーレの理解は早い。 同時に、そのような存在がこの世界にいることにわずかながらの恐怖を覚える。 なぜなら、あの結晶は生命を侵食する力を持つ。 つまり侵食された生命は意識すら銀のムトゥラのものに上書きされ、文字通りの傀儡とされてしまうのだ。 癒しの光に身を包みながらも、その表情をしかめるアデーレ。 イェキュブとは異なる危険性を持つ魔女を前に、改めて結晶魔獣の恐ろしさを痛感する。「僕の見立てだけど、アデーレが見た巨大結晶が新しい力を得た銀のムトゥラじゃないかな」「新しい力?」「ああ。君が嫌というほど苦しめられた、あのエネルギーを吸収する能力のことさ」 アンロックンの言葉に、アデーレはなるほどとうなずく。 ヴェスティリアの攻撃を無効化する結晶魔獣の力には、特殊な対応を余儀なくされてきた。 巨大結晶に対しダメージを与えられたのも、自爆に等しいエネルギーを込めた一撃を加えたときのみだ。「でも大丈夫。もうあの魔獣たちの好きなようにはさせないよ」 アデーレの胸の上で、アンロックンが誇らしげに揺れる。 まともな対策が存在しないために、ベルシビュラに頼りっぱなしになっていた現状。 しかし今ここにアンロックンがいるということは、その状況を覆す一手があるということだ。 アンロックンの言葉で、今日までの苦労が報われたとアデーレは胸をなでおろす。 単独行動と
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8-3【白き炎、悪しきものを穿て(前編)】

 アデーレを襲う絶体絶命の連鎖。 金属と岩の激しい衝突音が鳴り続け、叩きつけるような衝撃に脚は震える。 唯一の救いは、フラムディウスの強度が今もなお保たれていることくらいか……。「……っ?」 息を詰め、ただ一点を睨み続けるアデーレ。 その時、背中に触れる結晶から冷気が伝わってくる。 明らかに異常なその温度の変化に気付き、彼女は視線を横に向ける。 その直後だった。 結晶の表面に何の前触れもなく大きな亀裂が生じ、同時にアデーレを襲う圧力が一気に弱まる。「今だっ、押し返せ!!」 アンロックンの言葉にうなずいて答え、渾身の力を脚に込めるアデーレ。 その力に耐えられない結晶は、彼女の足を起点にその亀裂を大きくしていく。 そしてアデーレは、自らを覆う全ての瓦礫を押し返さんと、今出せる全力で大結晶を蹴り上げる。 押し返す力により瓦礫は押し退けられ、彼女の体が弾け飛ぶようにして瓦礫の外へと飛び出す。 先程のような引き寄せる力はなく、アデーレの体は重力に従い正しく落下する。「アイツの中にいたんだね」 彼女が空中で振り返ると、そこには無数の瓦礫により体を補強した巨大結晶の魔獣が。 体から伸びる二本の触手を掲げ、何対もの節足により巨体を支える異形だ。 先ほどまでアデーレが埋もれていたのは、あの魔獣の体内だった。 空中で回転し、姿勢を正したところで陥没した穴の底に着地するアデーレ。 魔獣は彼女の存在を認識していないのか、港町の方に向けてゆっくりとその歩みを進める。 あの巨大な魔獣がロントゥーサの港町へ侵攻しているのは明らかだ。 結晶の魔獣はアデーレのみならず、人間では対処することがまず不可能である。 もしも魔獣が町に到達すれば、町やそこに暮らす人々に大きな被害をもたらすだろう。 悠然と進む魔獣を睨み、その体に張り付こうとアデーレは跳躍の姿勢を取る。 しかし、魔獣の体から剥き出しの結晶が大量に剥がれ落ち、それらが膨張すると見慣れた結晶魔獣の姿へと成長する。 それらは巨大魔獣の体から次々と生まれていき、アデーレの周囲にも飛来してくる。「アイツ、何でもありなの?」「そういう事だろうね……避けてッ!」 飛来する魔獣を避けつつ、結晶魔獣を睨むアデーレ。 そんな彼女の怒りが通じるはずもなく、魔獣は次々にその数を増やしていく。 今までのアデ
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8-4【白き炎、悪しきものを穿て(中編)】

 フラムディウスが纏う白い炎。 それは燃え盛るほどに周囲の熱を奪い、肌を刺すような冷気を常に放ち続ける。 その冷たさとは裏腹に、新しく宿った力が自然と馴染む感覚がアデーレに高揚感を抱かせた。「月の明かりは冷たい光。そして聖火の一側面さ」「月……月の女神の力を持ち出すとは」 驚愕の様相を見せるエヴァに対し、アンロックンは得意げに笑ってみせる。 月光を象徴する白い明かりが揺らめき、結晶片に反射し瞬く。 想定外の力を目の当たりにした結晶魔獣たちは動きを止め、アデーレから間合いを取るように動く。 数多の禍々しい結晶が散らばるその中心で、アデーレは寒々しくも美しい立ち振る舞いを見せていた。 口の先からは白い息を漏らし、北国の冬を思わせる空気は吸うたびに体の火照りを冷ます。 内に宿る力は変わらず熱を宿しているが、それでもフラムディウスが纏う冷気の炎は肌寒い。 変身時のアデーレが肌寒く感じるのならば、生身の人間には耐えがたいはずだ。 しかし、この凍てつく炎こそが新たなる力。 彼女は自分の顔の前で剣を構え、周囲の魔獣を睨みつける。「ですが、ここで引くわけにはいかないのですよッ」 エヴァの体から生える触手が伸び、アデーレの体を貫かんと突き進む。 結晶魔獣たちも、その四肢を振り乱しながら地面を蹴り、彼女に向け迫り来る。 それらを一瞥したアデーレは、すぐさまフラムディウスを構えなおして両足で地面を踏みしめる。 回避ではない、防御の体制。 牙のように鋭い触手の先端は刃で受け流し、流れるように身を翻して先頭の結晶魔獣の腕を受け止め、押し返す。 そこから身を屈めると、すぐさまフラムディウスを横一線に振り払い、体勢を崩した結晶魔獣を一刀両断してみせる。 すかさず背後から迫った触手を切り払い、三方から来る魔獣の腕をかがんで回避。 その姿勢のまま地面を蹴って、地面を滑りながら魔獣の股下をくぐり包囲を抜ける。 刃が動くたびに揺れる炎が、光の軌跡を生み出す。「ヴェスティリア、鍵を更に回し続けるんだ」「もう一度?」「月神の力にはよりふさわしい【形】があるんだ。さあ」 アンロックンの指示に従い、フラムディウスの鍵穴に入ったままの鍵を見る。 それはまるで彼女に更なる力の解放を促すように意匠を輝かせていた。
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8-5【白き炎、悪しきものを穿て(後編)】

 白色の炎を纏い、新たな力を会得したアデーレ。 冷たい月明りによる手痛い攻撃を受けたためか、いよいよエヴァの顔から余裕というものが消え失せる。 彼女は無言のまま、その結晶で作られた鋭利な腕をアデーレへと向ける。 それに呼応するように、脚を止めていた周囲の魔獣たちが一斉に動き出す。 これまでと変わらない、数による一斉襲撃でアデーレを圧倒しようという魂胆だろう。 背中の触手を伸ばしたエヴァも、両腕を広げながら迫り来る。 魔獣たちがアデーレの間合いに入った瞬間、彼女はその場で回転しながら後方に移動する。 その間、柄の両端に刃が付くフラムアルクスが、手首の捻りによって波打つように中空を舞う。 揺らめく姿はそよ風。しかし敵を切り裂くその瞬間、刃は光の筋となって魔獣の体を一閃する。 しかし、エヴァは身を逸らすことで流れるような斬撃を回避。 回避する彼女をアデーレは深追いせず、一気に距離を離してから燃え盛る炎の矢をフラムアルクスにつがえる。「諦めの悪いことで」 吐き捨てるようなエヴァの言葉に続き、双方の間合いに結晶魔獣が割って入る。 直後、アデーレの手から炎の矢が放たれ、それは一直線に結晶魔獣の胴体を貫く。 抜けてきた矢をエヴァは紙一重で回避するも、今度は射抜かれた魔獣の爆発が彼女を後方へ押し返す。 刃の斬撃と矢の一撃を合わせたアデーレの動きは、舞いを奉納する巫女のそれを思わせる。 白いコートを大きくなびかせ、時折ずれる帽子の位置を直す姿は壮美にも映る。 そのトリッキーな戦闘スタイルは、魔獣たちを確実に翻弄していく。 普段の火竜の力とは正反対となる動きは、もはや別の戦士といっても過言ではない。「いいね……体が軽いっ」 その場で軽く跳躍し、眼下に目掛け弓を構えるアデーレ。 大きく燃え盛る右腕から多数の矢が一斉に生成され、魔獣目掛け放たれる。 炎の矢は白い光跡を残しながら地面へと降り注ぎ、群れとなった魔獣を無作為に貫いていく。 上空からの射掛けは止むことを知らず、白い流星雨が魔獣の群れを打倒していく。 対するエヴァも、降り注ぐ矢を瞬間移動の如き素早さで回避すると、背中の触手で地面を叩き飛び上がる。 結晶の刃となった腕がアデーレを捉え、彼女の心臓を貫かんと突き出される。 しかしフラムアルクスと研ぎ澄まされた腕がぶつかり合い、エヴァの
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