赴任先から帰り、離婚されていた話を聞いた日から一度も顔を見ること叶わない由宇子を、ひと目見たいと思い子らの面会で別れたあと、そっと薫くんと子らの後をつけた。 由宇子は公園で待っていた。 由宇子は一番下の子を抱いている。「さぶいねぇ~、ミ~キ」 そんな呟きを子に向けて語りかけている由宇子の背中を、聞いていた薫くんが背後から腕を回し包み込んだのが見てとれた。「あったかぁ~い」「でしょ?」「「ふふっ、ははっ」」 ふたりの笑い声。 そのふたりの周りで子らは安心しきって両親の側で遊んでる。 しばらくすると子ら3人も薫くんに抱きついたりしてまとわりつきはじめた。 そこには幸せな家族の光景があった。 俺のなくしたモノが、眩しくてまぶしくて──俺は知らずしらず、目の中に汗をかいていた。 俺にもあんな生活が手の中にあったのに。 子らがお父さんとまとわりついてきたり、あなた、と呼びかけてくれた元妻。 子供たちとはこれからも面会するつもりだから、この先も父親として認定はしてくれるだろうけれど、互いに一緒に過ごす時間は圧倒的に薫くんや元妻とは差が出てくるだろう。 そして、時間の経過と共にその差はいかんともしがたく大きいものとなっていくだろう。 到底あのふたりに適う日はこない。 それを改めて認識させられ、俺は己のこれまでの生活態度や選択が大きく間違ってたんじゃないかと後悔に襲われた。 好きな仕事ができて充実感があり、俺は幸せだった。 だがそれで家族を失うなぞ、本末転倒というものだ。 もはや今となっては、仕事は俺に生き甲斐をくれるものでもなく、幸せにしてくれるツールでもなかった。 それどころか俺から家族を根こそぎ奪っていった悪しきものとなってさえいる。 生きる気力もなくなっている自分に気付き、辛かった。 取り戻せない過去が辛いのだ。 皮肉なものだな。 ひとり身で身軽になっていくらでも好きなだけ仕事ができるのに、もはや仕事は生きがいにはならないようだ。 なんというパラドックス。 人生はどうしてこうもままならないのだ。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-02-05 อ่านเพิ่มเติม