陽向の大きな目に、みるみるうちに涙が溜まっていく。 下唇が震え、今にも大泣きしそうな顔になった。「うぅ……っ、パパの、いじわるっ……! ママぁ……っ」「ほら、泣かした! もう、征也のバカ!」 私は陽向の背中をポンポンと叩きながら、征也を鋭く睨みつけた。 陽向は私の肩に顔を押し付け、しゃくりあげながら「ママとけっこんするもん……」と小さな声で繰り返し始めた。「現実を教えただけだ。ここで甘やかすと、後々彼自身が苦労することになる」 征也は全く悪びれる様子もなく、ふん、と鼻を鳴らしてソファの背もたれに深く寄りかかった。「そういう問題じゃないでしょ。ただの子供の可愛い夢じゃない」「可愛い夢で済まされるか。たとえ口約束でも、お前が他の男と『ずっと一緒にいる』などと誓うのを、黙って聞いているほど俺は寛容ではない」「相手はあなたの息子よ!?」「息子だろうが関係ない。俺にとっては、莉子を奪おうとするライバルだ」 呆れ果てて言葉も出ない。 私は陽向の涙を指ですくい取り、「大丈夫よ、陽向。ママはずーっと陽向のママだからね」と優しく耳元で囁いた。 その言葉に安心したのか、それとも泣き疲れたのか。陽向のしゃくりあげる声は次第に小さくなり、私の肩に預けられた頭の重みが、ゆっくりと増していった。 すーっ、すーっという規則正しい寝息が聞こえ始める。 子供の電池が切れるのは、本当に唐突だ。 私は陽向を抱き上げたままゆっくりと立ち上がり、リビングの隅に置かれたベビーベッドへと運んだ。 そっとマットレスの上に下ろし、薄手のタオルケットをお腹にかける。 泣きはらした目元が少し赤くなっているが、その寝顔は天使のように無防備で愛らしかった。「……寝たか」 背後から、足音もなく征也が近づいてきた。 彼もベビーベッドを覗き込み、小さな寝息を立てる陽向の顔をじっと見つめている。 その横顔からは、先
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