「あのね、先生。何だか熱っぽいの。ちょっと触ってみて~」瑞の体にしがみついて、甘えるように話してる女性。パジャマ姿だから、きっとここに入院してる患者さんだろう。少しご高齢のご婦人だ。「高木さん。さっき検温しましたよね。熱はありませんでしたよ。大丈夫ですから病室に戻りましょう」瑞は、そう言って患者さんをなだめた。「でも先生……やっぱりおでこが熱いの。お願いだから、触って、ちゃんと診てちょうだいよ」「高木さん、菅原先生はお忙しいんですよ。私と一緒に病室に戻りましょうね」今度は、看護師さんが優しく語りかけるように言った。「嫌だよ。私は菅原先生にお願いしてるんだから。あんたとは帰りたくないよ」看護師さんの顔がひきつる。「高木さん、看護師を困らせないで下さいね。わかりました。じゃあ、もう一度だけ、熱、測ってみましょう」瑞は、その患者さんのおでこに優しく手を当て、それと同時に私達に気づいて軽く会釈してくれた。それに応えて、私と賢人君も少し離れたところから頭を下げた。おでこから手を離し、背の高い瑞が腰を曲げて、患者さんの顔を覗きこんだ。「大丈夫。本当に熱はありませんから。とにかく、部屋に戻ってゆっくり休んで下さいね。これは医師としてのアドバイスですよ」まるで小さな子どもに言い聞かせるような優しい口調。瑞がこんな風に人に語りかけてる姿は初めて見た。「菅原先生、ありがとうね。この病院に来てくれて本当に良かったわ。あなたが大丈夫って言ってくれたら、何だかとても安心なのよ。また診てちょうだいね、お願いだから」「もちろんですよ。そのために私達がいるんですから。つらい時は何でも言って下さい」
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-30 อ่านเพิ่มเติม