どのくらい、ひとりで泣いていただろう……。冬の空はいつでも薄暗く灰色だから、時間の感覚がわからない。黒板の上の時計を見ると、もう6時前を指していた。30分くらいはこうしていたんだ……。なにを考えるわけでもないのに……。日誌、職員室前の廊下に落としたままだ……。誰か気づいて先生に渡してくれますように。泣いた瞼が重たい。変な気だるさで眠気も襲って来るし……。帰ろう……。帰って寝て、明日を待とう。もしかしたら、これは夢かもしれない。転校なんて嘘かもしれない。こうやって教室でボーッとしている間に見た、ただの夢。そう信じたい……。誰もいな寒い廊下をトボトボ歩き、靴箱まで向かった。赤いマフラーに顔を埋め、背中を丸くする。窓の向こうから聞こえるヒューヒューと鳴く、悲しい風の音。この音を聞くだけで、身震いしてしまう。乾いた冷たい空気のせいで、歩いて目に風が当たるたびに、涙がジワリと浮かぶ。早く帰ろうと小走りで靴箱の廊下の角を曲がろうとした、その時。あたしはハっと息を飲んで、咄嗟に廊下の壁に体を隠した。靴箱の前に、ハルと柊が向き合って立っていたんだ。ハルと柊……?こんなところで何してるの?とっくに帰ってたんじゃなかったの?柊は先生と職員室で話していたとして、ハルはHR終わったらすぐに教室を出て行ってたじゃん。それなのに、なんで?あたしは静かな廊下にあたしの呼吸が響かないように、グッと、赤いマフラーの中に口を埋めた。ふたりの話し声が、小さく聞こえてくる。「最近、篠原とちゃんと話ししてる?」ハルが柊に聞く。「え、なんで?」柊が、少し笑いながら聞き返していた。「いや……別に、なんて言うか、篠原のわざとらしい態度見てるとさ、こっちが辛くなるっていうか……」……ハル。「そう? 別に普通じゃない?」柊がサラリと軽く答えると、ハルの「は?」とういう驚いた声が聞こえてきた。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-26 อ่านเพิ่มเติม