絵里は立ち上がり、武延を見下ろす。その冷ややかな瞳には、並々ならぬ決意が宿っている。「雪枝だけじゃない。あなたも、レイダーズも。あの時関わった人間は、誰一人として逃がさない」顔面にジュースを浴びせられた武延は、顎から滴る液体で白いシャツの襟元を汚していた。怒りで目を血走らせているが、絵里はすでに背を向けて立ち去った後だった。店内には客が多く、皆が一斉に武延の方へ好奇の視線を向けている。行き場のない怒りに震えながら、心の中で絵里を殺したいほど憎んでいる。あれこれと思案した末に打つ手もなく、再び雪枝に電話をかけ、呼び出すことにした。……密会する場所は、決まってこの月光クラブだった。雪枝が到着した時、彼らはすでに個室で待っていた。武延は一人掛けのソファに腰を下ろしており、その左側にはレイダーズの元社長である七海が座っている。七海は一目で只者ではないとわかる空気を纏い、不機嫌そうに顔をしかめている。その表情はひどく獰猛に見える。「お前も不用心すぎる。あれほどの証拠を握られるとはな。絵里はその証拠を盾に武延を脅してきた。この件が本格的に暴かれれば、我々全員が厄介なことになる。これからどう対処するつもりだ?」武延もそれに同調する。「その通りだ。絵里は俺に音声データまで聞かせてきた。あの時拓海を殺した連中は一人残らず許さない、とな。今の絵里は相当な証拠を握っているはずだ。一体どうしてそんなヘマをしたんだ」雪枝は苛立ちを隠そうともしない。「絵里がなぜ急に嗅ぎ回り始めたのか、私にわかるわけないでしょ。以前、寛治からその話を聞いた時は信じなかったけど、今やその寛治すら行方不明なのよ」バッグをソファに放り投げ、足を組んで腕を組む。その瞳には、冷たい光が宿っていた。「絵里が生きていれば、私たちの脅威になる。あいつがどこまで調べたかはわからないけど、もう待っていられない。先手を打つべきよ」以前から絵里を始末しようと人を手配していた。今ここに全員が揃っているなら、共同で手を下すには好都合だ。「私はもう人を雇って、動く準備ができてるわ。あなたたちはどう考えてるの?」それを聞いた武延と七海は、ハッと表情を強張らせた。「俺が考えている通りの意味か?だが、あの家筋はもう絵里しか残っていない。爺さんも病院で意識不明の
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